5月最終取引日(米時間 5/29 金)。
3指数全部、最高値で終わった。
| 指数 | 5月の上昇 |
|---|---|
| NASDAQ | +8% |
| S&P500 | +5% |
| Dow | +3% |
「Sell in May(5月に売って離れろ)」って、投資界の有名な格言なんだけど、
今年の市場、「離れてる場合じゃないのよ、姐さん」ってテンションだった。
完全に裏切られた5月。
しかも、Dell が1日で+33%。
時価総額1兆ドル超えのマイクロン。
ロビンフッドがAIで株取引解放。
ニュース密度、異常に詰まった1ヶ月。
今日は5月の振り返り + 「Sell in May」って何? + 6月どうなる?を整理する。
「Sell in May」って何?
日本人にはあまり馴染みないけど、米国・英国の投資家には常識的な格言。
正式には:
“Sell in May and go away, come back on St. Leger’s Day”
(5月に売って離れろ、セント・レジャー・デイに戻ってこい)
セント・レジャー・デイ = 9月中旬の英国の競馬大会の日。
歴史的背景
起源は 17-18世紀のイギリス。
ロンドンの金融街の上流階級が、夏の暑さを避けるために田舎の別荘に避暑に行く習慣あった。
つまり元々これ、「貴族がバカンス行くから株いったん閉店ね」って話なのよ。
現代で言うと、「南仏でロゼ飲むので、相場いったんよろしく」の世界観。
投資家・銀行家も7-9月はロンドンを離れる。だから市場の主要プレイヤーが夏に不在 → 取引量減 → パフォーマンス悪化。
避暑から戻ってくるのが、9月中旬の競馬大会「セント・レジャー・ステークス」の頃。
だから「セント・レジャー・デイに戻ってこい」。
これが100年以上前の英国の上流階級の習慣から生まれた格言。
米国版:「ハロウィン・インディケーター」
米国では同じ概念を別の名前で呼ぶ:
“Halloween Indicator”
(10月31日のハロウィンに買って、5月に売る)
つまり、
「5月〜10月(夏半年)」:株を持たない
「11月〜4月(冬半年)」:株を持つ
これが投資戦略として知られてる。
統計データ、ガチで根拠あり
世界市場では、学術論文(Bouman and Jacobsen 2002)が世界37の株式市場を調査:
11月〜4月のリターンは、5月〜10月より平均約4%高い
S&P500 単体で見ると、YCharts 統計(1999-2025):
| 期間 | S&P500 平均月次リターン | 半年合計 |
|---|---|---|
| 11月〜4月 | 1.03% | 約6.2% |
| 5月〜10月 | 0.69% | 約4.1% |
つまり、S&P500 単体でも、半年で約2%の差。
世界市場全体だと、約4%の差。
どちらにせよ、
「Sell in May」は、過去データに基づく現実。
ただし、「絶対的な法則」じゃなく「傾向」。
予想外の年も、当然ある。
そして、2026年5月は、完全に予想外だった。
2026年5月、何が起きたか
5月最終取引日の数字:
| 指数 | 終値 | 5月の上昇率 | 状態 |
|---|---|---|---|
| Dow | 51,032.46 | +3% | 初の51,000突破 |
| S&P500 | 7,580.06 | +5% | 9週連続上昇 |
| NASDAQ | 26,972.62 | +8% | 最高値 |
S&P500、9週連続上昇。
これ、結構稀。
5月の平均月次リターン 0.69% を、S&P500 だけで7倍以上、NASDAQ で11倍以上上回った。
「Sell in May」を信じて5月初頭に売った人、悲しい。
逆に、5月初頭に買った人、気持ちよく勝った。
5月の主役はAI
なぜこんな異例の上昇?
理由は1つ。
AIラリー、まだ全然終わってない。
むしろ市場、「AI って言っとけば許される期」に完全突入してる。
5月のテック株の動き:
| 銘柄 | 5月の動き |
|---|---|
| Dell Technologies | +33%(1日、5/29) ← 記録的1日 |
| Snowflake | +40%超(週間) |
| Micron Technology | 時価総額1兆ドル突破、年初来+214% |
| Robinhood | Agentic Trading 発表、Mizuho 目標$115 |
| Microsoft | +5.45%(5/29 単日) |
| IBM | +12.90%(5/29 単日) |
| Salesforce | +8.46%(5/29 単日) |
特に Dell、衝撃。
5/28 引け後の決算で売上・利益ともに予想超え、通期ガイダンス引き上げ。
翌日5/29、1日で時価総額の33%が動いた。
もう“パソコン売ってる会社”の値動きじゃないのよ。
昔オフィスの情シスが発注してた Dell、今やウォール街でドラッグみたいに扱われてる。
「AIサーバー需要、本物だった」という市場の答え合わせ。
📖 関連記事 → マイクロン、AI特需で時価総額1兆ドル|「低PERは買いか警告か」HBM需要の正体
でも、AIじゃない銘柄は置き去り
5/29 の Dow、+0.72%。
最高値51,032.46まで上昇。
でも、Dow 構成銘柄を見ると、完全に二極化してた:
勝ち組:
- IBM +12.90%
- Salesforce +8.46%
- Microsoft +5.45%
負け組:
- Walmart -2.61%
- J&J -2.41%
- Nike -2.41%
つまり、
「テック・AI = 上昇」「消費・伝統 = 下落」
資本主義、「未来を売る会社」は大好き。
でも、「現実の生活を支える会社」には急に冷たい。
Walmart下げてAI爆上げしてるの、だいぶ味わい深いのよ。
これ、前のロビンフッド記事で書いた「AI一本足打法リスク」の答え合わせでもある。
📖 関連記事 → ロビンフッドが AI に株取引を解放|「Agentic Trading」と AI クレカ、便利と無防備の境界線
5月の主要イベント、振り返り
時系列で整理。
5月前半:上昇トレンド復活
- 5/1〜:S&P500 が初の7,200突破、Apple決算が市場予想を上回る(beat)
- 5月のVIX(恐怖指数)低下
- AI関連株がリード
5/22:Memorial Day前、Dow過去最高値
- 5/22 Dow が+294ポイントで最高値更新
- 連休前のポジティブモード
5/26(火、Memorial Day明け):マイクロン1兆ドル
- マイクロン株が1日で19%急騰
- 時価総額1兆ドル突破
- UBS が目標株価3倍引き上げ
- AI ラリーが半導体メモリーまで波及
5/27(水):米イラン「完全な捏造」
- 米イラン合意間近 → トランプ「譲歩否定」発言
- ホワイトハウス、合意草案を「完全な捏造」と否定
- 市場は冷静、最高値更新しつつ伸び止まる
- 原油 -5.55%
📖 関連記事 → 米イラン交渉、トランプが譲歩否定|「完全な捏造」発言、株最高値も騰勢失う、原油$88へ急落
5/27(米時間水):ロビンフッド「Agentic Trading」発表
AI エージェントが、株取引・買い物する時代開幕。
「便利〜♡」って顔してるけど、冷静に考えると、“AIが勝手に課金する時代” が開幕してるのよね。
📖 関連記事 → ロビンフッドが AI に株取引を解放|「Agentic Trading」と AI クレカ、便利と無防備の境界線
5/28(木):米イラン60日停戦延長報道、米株3指数全部最高値
- 「完全な捏造」から24時間で逆転
- Dow、S&P500、NASDAQ、すべて最高値更新
- 原油 +2.22%
5/28〜29:Dell +33%、テック決算ラリーの締めくくり
- Dell 決算 beat、+33% 急騰(5/29)
- Snowflake、Micron、Qualcomm が連動
- 「AI サーバー需要、本物」の確認
5/29(金):5月最終取引日、米株3指数全部最高値で締めた
- Dow 初の51,000突破
- S&P500 9週連続上昇
- NASDAQ 月間+8%
一方で消費の現実
ここ、地味に重要な対比。
5月のもう1つの大きな話:
米消費者信頼感指数 5月93.1
- コンファレンスボード発表(5/27)
- 5月:93.1(前月87.7から回復だが、依然低水準)
- 米国民の2/3が「節約モード」回答
つまり、ウォール街は最高値、メインストリートは節約の二極化、5月もずっと続いた。
株価は過去最高。
でも一般人、コストコで「卵高っ…」って言いながら生きてる。
この温度差、だいぶ2026年。
📖 関連記事 → 米消費者信頼感指数 5月93.1で低下|S&P500最高値の裏で2/3が節約モード
なぜ「Sell in May」は裏切られたのか
考えられる理由、4つ。
1. AIラリー、まだ夏休みなんてない
100年前の英国の上流階級は、夏に避暑。
でも今の市場24時間動いてる、AIは夏休みしない。
Robinhood の Agentic Trading(5/27発表)が示す通り、AIエージェントが24時間取引する時代。
人類は海行ってるのに、AIだけ24時間働いてる。
資本主義、ついに“寝ない社員”を手に入れてしまった。
2. 米イラン停戦延長期待
5/29 の終盤、米イラン60日停戦延長合意の報道。
地政学リスクの後退 → リスクオン → 株買い。
これが5月末の最高値ラリーを後押し。
3. テック決算が想像以上に強かった
5月後半のテック企業決算、軒並み予想超え:
- Dell、Snowflake、Micron、Qualcomm
「AI 投資、まだまだ続く」という確認。
4. 9週連続上昇のモメンタム
S&P500、9週連続で上昇した相場。
「上がる相場」のモメンタムが、季節性アノマリーを上回った。
つまり、「過去のパターンより、現在のモメンタムが強い」状態。
市場って、結局いつもこうなのよ。
「今回は違う」を、毎回やる。
で、たまに本当に違う。
で、6月どうなる?
ここ、市場のプロも意見分かれてる。
強気派の主張
- AI 設備投資のサイクル、まだ初期
- マイクロン、Dellの決算が需要を確認
- ハイパースケーラー(Microsoft、Google、Amazon、Meta)の AI投資、加速
弱気派の主張
- バンクオブアメリカ:「夏のプルバック準備すべき」と警告
- AI銘柄、買われすぎ(RSI 70超え)
- 米消費者の節約モード、いずれ企業業績に響く
- 「9週連続上昇、もう調整入っておかしくない」
中立派の主張
- 個別株の選別が重要
- 「AI全銘柄が上がる時代」は終わりつつある
- Dell、Micron、Snowflake みたいな実需確認できる銘柄にシフト
で、日本のあなたに関係あるの?
「米国の5月の話、それあたしに関係あるの?」
1. 新NISA で米株インデックス持ってる人
S&P500 +5%、NASDAQ +8%。
新NISA で米株インデックス積立してる人、5月の運用成績、それなりに良い。
ただし、「上がりすぎた」とも言える。
6月以降の調整リスク、頭の片隅に。
2. 個別株、特に AI関連持ってる人
NVIDIA、Microsoft、Apple、Alphabet、Meta、Tesla、Broadcom、Micron、Dell。
5月の上昇分、それなりに含み益あるはず。
利益確定 or ホールド、判断のタイミング。
3. 「Sell in May」って格言、信じる?
統計的には、確かに5月〜10月のリターンは弱い。
でも、「過去の傾向」と「今の市場」、別物。
格言だけで投資判断するのは危険。
今の構造(AIラリー、地政学、企業決算)を見て判断する必要ある。
4. ドル円、為替の動き
5月、ドル円は158円近辺で推移。
地政学リスクが後退すれば円高方向。
リスクが再燃すれば円安方向。
米株を持ってる人は、円建てリターンの計算で為替も影響する。
5. 6月のイベント、何見るべき?
6月の重要イベント:
最大の注目:SpaceX IPO(6月12日予定)
- S-1 既に提出済み(5/20)
- 6/8 ロードショー開始、6/11 プライシング、6/12 上場
- ティッカー:SPCX(Nasdaq)
- 評価額:$1.75兆ドル、調達 $75 billion
- 構成:ロケット + Starlink + xAI(Musk の AI)
- 個人投資家枠 30%(Schwab、Fidelity、Robinhood で購入可能)
- IPO 史上最大規模(過去最大の Saudi Aramco $29.4B を大幅更新)
📖 関連記事 → SpaceX、史上最大IPOへ|「宇宙×AI」融合、早期投資家の桁違いリターン
他にも見るべきイベント:
- FOMC(6月17-18日):ウォーシュ議長の最初の本格的政策決定
- マイクロン Q3 決算(6/24):AI 需要の継続確認
- 米イラン交渉の進展:60日停戦延長後の正式合意?
- 米雇用統計(6月初め):消費・労働市場の現状
- 新NISA 関連:6月の配当・分配金タイミング
今後の AI IPOカレンダー:
| 企業 | 予定時期 | 評価額 |
|---|---|---|
| SpaceX | 6/12 | 1.75兆ドル |
| Anthropic(Claude 開発元) | 10月予定 | 9,000億ドル |
| OpenAI(ChatGPT 開発元) | Q4 2026 or 2027 | 1兆ドル目標 |
| Databricks | 未確定 | 1,340億ドル |
| Cerebras(AI チップ) | S-1 提出済 | 未公開 |
2026年は、AI企業の上場ラッシュ元年。
6月の SpaceX IPOが成功すれば、Anthropic、OpenAIのIPO計画も加速する流れ。
逆に、SpaceXが失敗すれば、AI IPO全体に冷や水。
とっても重要な6月。
今後の注目点
短期(6月):
- FOMC(6/17-18)、ウォーシュ議長の最初の本格的政策決定
- 米イラン正式合意 or 決裂
- 5月の上昇に対する調整入る?
- AI 関連株の利益確定売り
中期(夏〜秋):
- 「Sell in May」、結局当たる? 当たらない?
- 米大統領の地政学的決断
- AI 投資の実質性確認
長期(年末まで):
- 米株、年末ラリー来る?
- AI バブル説 vs AI 実需説の決着
- 日本市場の AI 関連株の追随
締め——格言と現実
「Sell in May and go away」
100年以上前の英国の上流階級が、避暑に行くために株を売ってた習慣。
それが格言になった。
過去のデータで「ある程度当たる」と確認された。
でも、2026年5月、完全に裏切られた。
NASDAQ +8%、Dell +33%、Dow 初の51,000。
AI、地政学、企業決算、全部が過去のパターンを上回った。
過去の格言って、便利なの。
「Sell in May」みたいな短いフレーズで、なんとなく投資判断できそうな気がする。
でも、格言は過去の平均、今の市場は今の構造。
人類、すぐ”短い言葉”で安心したがる件。
「Sell in May」
「暴落は買い」
「長期なら勝てる」
便利なのよ。
でも市場、そんな親切じゃない。
正直、相場なんて、明日のことすら誰も分かってない。
CNBCでスーツ着て喋ってる人たちも、たまに普通に外す。
だから、わからない時は、淡々と積立を続ける。
新NISA の月10万円、月3万円、月1万円。
5月のラリーで上がっても、今後の調整で下がっても。
続けることが、長期で勝つ唯一の方法。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
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※本記事は、CNBC、Reuters、Trading Economics、TheStreet、YCharts、QuantifiedStrategies、Wikipedia、Bouman and Jacobsen 学術論文(2002)等の報道・公開情報をもとに構成しています。


