昨日あたし、テスラの決算がコケた話を書いたのよ。サイバートラックは令和のエドセルになるのかしら、なんて言いながら。
そしたら翌日、その決算がアメリカのハイテク大手7社をまとめて崖から突き落としたわ。
ブルームバーグのマグニフィセント7指数は、木曜の取引中盤で4.8%安。時価総額にして約7,670億ドル——日本円でざっと124兆円が、半日で消えたの。2025年4月の関税ショック以来、最大の一日の下げ幅になるペースよ。 CNBC
124兆円。日本の2026年度の国の予算が約123兆円だから、日本の国家予算まるごと1年分が、半日で蒸発した計算になるわ。
そもそも「マグニフィセント7」って何者なの?
ここで一回止まりましょ。ニュースで毎日聞くけど、誰も説明してくれない言葉よね。
マグニフィセント7(Magnificent Seven、略してM7やマグ7)は、アメリカのIT大手7社をまとめた呼び名。メンバーはこの7人よ。
- アップル(iPhoneの会社)
- マイクロソフト(WindowsとExcelとAzureの会社)
- アルファベット(Googleの親会社)
- アマゾン(通販とAWSの会社)
- エヌビディア(AI半導体を設計する会社。作ってるのは台湾のTSMCよ、そこ大事)
- メタ(Facebook・Instagramの会社)
- テスラ(電気自動車とロボットの会社)
名前の由来は1960年の西部劇『荒野の七人』(原題 The Magnificent Seven)。ウォール街、こういう厨二っぽいネーミングが大好きなのよね。
で、なぜこの7社だけ特別扱いされるのか。理由はシンプルで、S&P500という米国株の代表的な指数のうち、この7社だけで3分の1前後を占めるから。つまり、新NISAでS&P500の投資信託を積み立ててるあなたの資産も、気づかないうちに3割はこの7人に賭けてるってこと。
だから他人事じゃないの。「アメリカのハイテク株が下がったんですって」じゃなくて、あなたの口座の中身が下がってる話よ。
犯人は業績じゃない。「これからもっと使います」という宣言
ここが今回の一番おもしろいところ。
普通、株が暴落するのは「業績が悪かったから」よね。でも今回、下げを主導した2社が言ったのは未来の話しだったの。
アルファベットは、今年の設備投資の見通しを最大2,050億ドルに引き上げたわ。約33兆円。データセンターを建てて、AI用の半導体を買って、もっと大きくなりますという宣言よ。しかもクラウド事業は好調だったの。売上は立ってる。それでも売られた。
テスラはもっと直球だったわ。利益が予想を大幅に下回った上で、マスクCEOが「2026年は巨大なCapExの年になる」と投資家に語ったの。
CapEx——設備投資。一昨日あたしがテック編の用語集で解説したばっかりの言葉が、24時間で124兆円を吹き飛ばす主役に昇格したわ。書いた本人が一番驚いてる。
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つまり、こういうことよ。
経営者たちは胸を張ったの。「うちはAIに本気です。もっと投資します」って。企業のトップとして、これ以上ないくらい正しいことを言ってるつもりで。
そしたら市場が青ざめた。
「え、まだ使うの? 利益より先に請求書が届くんだけど」
「がんばってます」が通じなくなった瞬間
これ、人間関係でもあるでしょ。
付き合い始めの頃は「俺、本気だから」って言われると嬉しいのよ。将来性を感じるから。でも3年経って、まだ「本気だから」しか言わない相手には、だんだんこう思うようになる。「で、いつ結果が出るの?」って。
3年以上にわたって株式市場を牽引してきたAIトレードの、持続性そのものに疑問が突きつけられている——ブルームバーグはそう書いてるけど、要するにそういうことよ。
市場は今まで、「AIをやってます」と言えば買ってくれた。夢を買ってたから。でも今は「AIでいくら儲かるの?」を聞き始めた。夢から採算へ、話しのステージが変わったの。
そして厄介なのは、経営者側は何も間違ってないってこと。AIの競争は今まさに走ってる最中で、ここで投資を止めたら負ける。正しいことをやってるのに嫌われる——これ、会社勤めした人なら身に覚えがあるはずよ。
同じ日、円は163円99銭まで売られた
さて、話はここで終わらないの。
同じ23日、為替市場でも事件が起きてたわ。円は一時0.5%安の1ドル=163円99銭まで売られたの。164円には触らずに伸び悩んだけど、ほぼ王手ね。
ここで大事な注意をひとつ。「AI株が暴落したから円安になった」——これは違うわ。別ルートよ。
円安の直接の引き金は、中東情勢の悪化。原油が騰勢を強めて、国債利回りが上昇し、安全資産とされるドルがほぼ全面高になったの。
でも、接点が一つだけある。
米国債の利回り上昇よ。これが今回の真犯人で、こいつは二丁拳銃なの。
弾①:ハイテク株に当たる
金利が上がると、「今は赤字だけど将来すごく儲かります」という会社の価値が下がるの。だって、待たされる間に銀行に置いとくだけで利息がもらえるんだから。将来の夢を割り引く率が上がる、ってこと。マグ7はまさに「将来の夢」で買われてた株だから、金利上昇に一番弱いわ。
弾②:円に当たる
アメリカの金利が上がれば、日米の金利差が開く。円を持ってても増えないけどドルなら増える、じゃあ円は要らないわね、となって円が売られる。
つまり、同じ一発の弾が、あなたの投資信託の評価額と、スーパーのレシートの両方に当たってるの。前者は米金利が押し下げ、後者は円安が輸入物価を押し上げる。ダブルパンチって、こういうことよ。
HSBCはこの水準を「危険水域」と呼んでるわ。10年債利回りが、ほぼ全ての資産クラスに圧力をかけ始める領域という意味ね。
投資家の翻訳機にかけると、「ちょっと全員落ち着け」って意味よ。
日銀の利上げ観測も効かなかった
じゃあ日本側は何もしてないのかというと、そうでもないの。
日銀が利上げのペースを加速させるかも、という観測は流れてたわ。普通なら円高材料よ。でもG10各国の中銀もタカ派姿勢を強めてる中では、効果に限界があるとアナリストは見てるの。 Nikkei
みんなが金利を上げてる中で日本だけ上げても、差は縮まらないってこと。全員が背伸びしてる集合写真で、日本だけシークレットブーツ履いてきても身長順は変わらないわ。
介入も常に選択肢としては意識されてるけど、実施には各国との協調が必要。ハードルは低くないわね。
あたしたちはどうすればいいの?
正直に言うわ。今日明日で慌ててやることは、ない。
でも押さえておくべきことは3つあるわ。
① 分散してるつもりで、してないかもしれない
S&P500の投資信託を1本持ってれば分散、ではないの。中身の3割はマグ7よ。「全米株式」も「先進国株式」も、上位はだいたい同じ顔ぶれ。本数じゃなくて中身を見て。
② 来週7月28-29日にFOMCがある
米金利がどっちに向かうかの分岐点よ。今回の円安もハイテク株安も、根っこは金利。ここを見ておけば、次に何が起きるかの見通しが立つわ。
③ 円安は生活に直撃するけど、あなたの資産にはプラスの面もある
外貨建て資産を持ってるなら、円安は評価額を押し上げるの。輸入物価で財布は痛むけど、資産は増えてる。痛い方だけ見て焦らないこと。両方見て、はじめて自分の立ち位置がわかるわ。
今日のまとめ
- マグニフィセント7が半日で約7,670億ドル(約124兆円)を失った。2025年4月以来の下げ幅
- 引き金はテスラとアルファベットの決算。ただし業績の悪さより「これからもっと設備投資します」という宣言が嫌われた
- 市場は「AIやってます」から「AIでいくら儲かるの?」に評価軸を変えた
- 同じ日、円は163円99銭。直接の原因は中東情勢だが、共通の犯人は米金利上昇
- 米金利は「危険水域」。来週のFOMCが次の分岐点
「本気なんです」って言葉が一番強いのは、最初の1年だけよ。3年目に必要なのは決意表明じゃなくて、通帳の残高。市場も恋愛も、そこは同じね。
ニュースは毎日騒ぐ。でも家計は毎日続くわ。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
Everyone loves an ambitious partner. Until the third year.
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※本記事はブルームバーグ、CNBC、日本経済新聞の公開情報をもとに構成しています。


