日経2,694円安の本当の理由|AIバブルは終わったのか?半導体ベア相場入りの本当の意味

半導体株の急落で下落する株価チャートと、AI投資の採算を計算し始めた市場を象徴的に描いたイメージ。日経平均2,694円安とSOX指数の弱気相場入り、AI設備投資65兆円の回収問題を伝えるSassy Moneyの市場解説記事用サムネイル。 市場

AI!未来!革命!もうね、テック界隈全員が「世界変えます!」って顔してた。

7月16日には、エヌビディアのジェンスン・フアンが来日して「日本AIの始まりだ」と宣言。国が1兆円出して、44社が集まって、みんなで乾杯してたの。あたしも記事に書いたわ。いい話しだった。

……で、翌朝。世界じゃなくて、自分の証券口座の色が変わった。

日経平均は2,694円下がったの。 一日で。4%よ。しかも日中の値幅を見て。高値66,441円から安値62,704円まで、3,700円以上も振れてる。

前の日まで「AIが未来を変える!」。翌朝「Excel開いて」。……この温度差よ。

いったい、一晩で何があったのかしら。

まず、何が起きたか

数字から整理するわね。7月17日、こういう一日だったの。

  • 日経平均:64,141円(前日比 −2,694円、−4.03%)
  • NYダウ:52,146ドル(−406ドル)、S&P500は−76、NASDAQは−361と全面安
  • VIX指数:18.77(+2.04)——VIXは市場の恐怖指数。要するに「みんな今どれくらい寝不足になってる?」を数字にしたものと思えばいいわ
  • WTI原油:82.49ドル(+3.54)——中東の緊張が続いてて、こっちも上がってる

そして、震源地はここ。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)が、6月の高値から20%以上下落して、弱気相場入りしたの。

「弱気相場入り」って何よ、って思うでしょ。噛み砕くわね。

株の世界では、直近の高値から20%以上下がると「弱気相場(ベアマーケット)」と呼ぶの。「ちょっと下がった」じゃなくて「流れが変わったかもしれない」という、けっこう重い節目よ。体温でいえば38度を超えたくらい。「会社行けます」って言う人はいるけど、周り全員が止める温度ね。

しかもSOX指数は、今年ずっとAIブームの主役だったの。6月には過去最高値を更新してた。その優等生が、1ヶ月ちょっとで2割落ちた。

体育祭で一番目立ってた応援団長が、閉会式では保健室にいる感じよ。

で、市場は何にビビったの?

ここが今日いちばん大事なところ。理由が、ちょっと意外なの。

アナリストがこう言ってるわ。市場が問い始めたのは「AIは終わったのか」ではなくて、「これだけ金を使って、いつ、どれだけ返ってくるのか」だ、と。

つまりね。AIが終わったんじゃないの。CFO(最高財務責任者)が目を覚ましたの。 今までCEOが「未来への投資だから!」って言えば通ってたのに、経理が急に「その未来、領収書あります?」って聞き始めたのよ。

数字を見ると迫力があるわ。主要ハイテク企業のAI関連設備投資は、2026年に総額4,000億ドルを超える見通し。ざっくり65兆円よ。日本の国家予算の半分以上を、数社が「AIの設備」に突っ込んでる計算になるの。……65兆円。

想像つかない?あたしもつかないわ。あたしなんてスーパーで卵が10円高いだけで、一周して戻ってくる女よ。

で、ここに火をつけたのが中国。7月16日、中国のAI企業が新しいモデルを発表したんだけど、これが「米国トップ級の性能を、はるかに安い学習コストで実現した」とされたの。中国が「もっと安くできます」と言った瞬間、市場全体が「え?」ってなったわけ。あの「え?」には、世界中で数十兆円分の含み益が入ってたのよ。

「待って。もし中国が10分の1のお金で同じ性能を出せるなら、うちが突っ込んだ65兆円って、何だったの?」——はい、これよ。これが暴落の正体。ちなみにこの中国のモデル、名前を「Kimi」というの。何をやらかしたかは、別の記事で詳しく書いたわ。

📖関連記事:安くなったら困る人がいる|中国AI「Kimi」が安すぎて世界の株が青ざめた日

人間観察:恋が冷めるんじゃなくて我に返るのよ

あたし、この動きを見てて思ったの。恋ってね。冷めるんじゃないの。クレジットカードの請求が届くの。

恋してる時期って、相手の年収とか将来性とか、あんまり気にならないでしょ。「この人といると楽しい」で全部OK。市場もそうだったの。「AIってすごい!」「未来が来る!」で、細かい採算は後回しにして買ってた。

でもある日、ふと冷静になる瞬間が来るのよ。「……で、この人、いつ結婚してくれるの?」って。そして続けてこう聞くの。「あと家賃、毎月いくら?」——ここから恋は第二章よ。相手が嫌いになったわけじゃない。ただ、夢の話しだけじゃ足りなくなったの。

しかも、間が悪いことが重なったわ。完璧だと思ってた彼氏の隣に、同じスペックで、家事もできて、年収も高くて、「しかも実家が太いです」が現れた感じ。それが今回の中国よ。……市場って、びっくりするくらい浮気性なの。

そして翌日、市場は半分だけ戻ってきた

面白いのはここから。翌7月18日、日経平均は反発したの。1,062円高の65,203円。「なんだ、戻ったじゃない」って思うでしょ?

でもね、よく見て。前日に下げたのは2,694円。戻したのは1,062円。つまり、下げた分の4割しか戻ってないの。

これ、市場心理としてはすごくわかりやすいのよ。

市場「ごめん。」
投資家「……既読。」

LINEでいうと既読スルー状態ね。全力で謝られたけど、まだ完全には許してない。

実際、市場では「AI関連投資の採算性に対する疑念が完全には払拭されていない」という声が出てるわ。半導体株も反発はしたけど、東京エレクトロンもアドバンテストも、前日の下げを取り戻せてないの。

前にPPIの記事で「市場は恋愛相談してくる親友」って書いたけど、今回はちょっと違うわね。今回は気分じゃなくて、計算で動いてる。だから戻りが鈍いの。感情で下げたなら感情で戻るけど、電卓を叩いて下げたら、電卓が納得するまで戻らないのよ。

今週の市場、ChatGPTじゃなくてCASIOになってるわ。

日本への影響

さて、あたしたちの財布の話しをするわね。

新NISAで積み立ててる人へ

まず、これがいちばん多くの人に関係あるわ。新NISAでS&P500やオルカン(全世界株)を積み立ててる人は、今回の下げを確実に食らってるの。理由は簡単で、これらの指数の中身は、エヌビディアやマイクロソフトみたいなAI・ハイテク企業が上位を占めてるから。半導体が2割落ちれば、あなたの積立の評価額もそれなりに削られるってことよ。

こういう日にね、評価額を見るたびに「リロードしたら戻るかな」を3回やる人がいるの。……あれ、意味ないから。画面を何回更新しても、市場は気を利かせてくれないのよ。

で、どうすればいいか。あたしの意見を言うわね。基本は、いつも通り淡々と積み立てる。これに尽きるの。理由は3つ。

ひとつ、今回の下落は「AIが終わった」からじゃなくて「回収時期が読めない」から。事業そのものが消えたわけじゃないの。

ふたつ、積立投資は下がった時こそ安く買えるという仕組みだから、下落は本来”買い場”の側面がある。

みっつ、こういう時に慌てて売ると、たいてい戻った後に「あの時売らなきゃよかった」となるのよ。

積立ってね、ドラマの主人公じゃないの。地味なの。でも、地味だけど最後まで生き残るの。 派手に動きたくなる日ほど、動かないのが仕事よ。ちなみに、暴落の日だけ急に「投資家です」って顔になる人、毎回いるわよね。普段はチャートも見ないのに、その日だけ全力で買おうとするの。……気持ちはわかる。わかるけど、たいてい翌週にはまた見なくなるのよ。

もちろん「絶対大丈夫」なんて言わないわ。半導体が弱気相場入りしたのは事実だし、この調整が秋まで続くという見方もある。だから「怖いから全部売る」でも「安いから全力で買う」でもなく、決めたペースを守る。それが一番強いの。

相場が電卓を叩いてる時期は、こっちは家計簿を淡々とつけてればいいのよ。

日本株・円への波及

日本株も他人事じゃないわ。日経平均の主力には、東京エレクトロン、アドバンテスト、ソフトバンクグループみたいなAI・半導体関連が大量に入ってるの。だから米国の半導体が売られると、日本株も連動して落ちる。

今回の4%安が、まさにそれよ。東京エレクトロンもアドバンテストも、「昨日まで神」「今日は様子見」。……市場って、SNSより飽きるのが早いの。

しかも皮肉なのが、日本はいま国を挙げてAIに1兆円を突っ込むと決めたばかりでしょ。

日本「AIに1兆円出します!」
世界「ところで採算は?」

タイミングが絶妙すぎるのよ。エヌビディアの半導体を2万7500基買って、44社でノエトラを作って、その決定の翌日にこれ。

ただこれ、日本にとって悪いことばかりじゃないの。世界が「AIへの投資は割に合うのか」と冷静になる局面って、地味だけど確実に儲かる分野——製造装置、素材、電力、ロボット——に目が向きやすくなる。派手なモデル開発じゃなく、AIを支える裏方が強い日本には、むしろ追い風になりうる話しなのよ。

為替も見ておいて。今回の混乱でも、ドル円は162円前後で高止まりしてるわ。株が下がっても円が強くならないのは、日米の金利差という重力がまだ効いてるから。つまり株安と円安が同時にくるという、輸入に頼る日本にとっては地味にしんどい組み合わせが続いてるってこと。

株も痛い。円も弱い。スーパーだけは、毎日ちゃんと仕事してくるのよね。

まとめ:夢に値段をつける季節がきた

今週、市場がやったことは一つ。ロマンをExcelに貼り付けたの。

AIはすごい。それは誰も否定してない。でも「すごい」と「儲かる」は違うのよ。65兆円という設備投資に対して、市場はついに「で、いつ返ってくるの?」と聞き始めた。中国が「うちならもっと安くできる」と言ったことで、その質問がより鋭くなった。半導体は弱気相場入りして、日経は一日で2,694円落ちて、翌日は4割だけ戻した。AIは夢だった。今はIR説明会よ。

でもね、これって悪いことばかりじゃないと、あたしは思ってるの。夢に値段がつくって、その夢が現実になり始めた証拠でもあるでしょ。誰も採算を聞かない時期は、まだ絵空事だったのよ。「いつ回収するの?」と聞かれるようになったのは、AIがちゃんとビジネスとして見られ始めたということ。

市場ってね、未来は大好きなの。でも請求書だけは、昔から大嫌い。

人って面白くて、惚れてる時は何も聞かないくせに、少し冷静になると急に細かい質問を始める。しかも一度疑い始めると、全部は戻せない。4割だけ許して、残り6割は様子見。……市場の心って、あたしたちの心と、本当によく似てるのよ。

革命って、始まる時は拍手される。続ける時は、採算を聞かれるの。

ようこそ、AI第二章へ。

世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。

The dream still works. The invoice just arrived.


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※本記事はブルームバーグ、ロイター、日本経済新聞、株探、みんかぶ等の公開情報をもとに構成しています。

この記事を書いた人

40代、元外資テック・米銀行、米国生活経験あり。
東京で愛犬と暮らす観察者。
「経済的自立」がモットー。

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