写真1枚で、子どもが脅される|日本でも増え続けるセクストーション、AI時代に親子で決める「2つの約束」

夜のリビングのソファで、父と母に挟まれて座った子どもが、スマホの画面を見せながら話している後ろ姿。温かなランプの光が三人を包み、窓の外には静かな夜の街。叱らずに聞く家族の会話を、バーガンディとチャコールで描いたシネマティックな絵画調イラスト テック

子どもが性的な写真を送っていなくても、性的な写真を「作られる」時代になった。そして犯人は、その偽物を使って「家族や友達に送るぞ」と子どもを脅す。

だから今日の話しは、「変な写真を送らないようにしましょう」ではない。送っていなくても被害に遭いうる時代に、どう子どもを守るか。その話しよ。

家の鍵を想像してみて。昔は「玄関の鍵をかけなさい」で、だいたい家は守れた。泥棒は玄関から来るものだったから。

でも今、子どもたちの部屋には、玄関を通らずに入ってこられる窓がある。手のひらの中のスマホよ。しかもその窓の外には、国境も時差もない。そして同じ手のひらの中には、ボタン一つでお金を送れるアプリまで入っている。

今日はいつもより少し真面目な話しをさせてね。先に結論を書いておくわ。

子どもへの約束は「脅されたら返事をしない。すぐ親に言う」。 親の約束は「話してくれたら、絶対に叱らない」。

この2つだけ、今日のうちに家で話しておいてほしいの。

手口には「型」がある

この手口は「セクストーション」と呼ばれているわ。性的な画像を材料に、お金などを脅し取る犯罪のこと。こども家庭庁の調査報告書も、「家族や知人に拡散する」などと脅して、金銭や、さらなる要求への服従を強いる犯罪だと説明している。

FBIや国内の支援団体の注意喚起を整理すると、よくある流れはこう。

  • インスタグラムなどのSNSやゲームで、同年代や異性を装った相手から親しげなDMが届く
  • しばらくすると「こっちのアプリで話そう」と、ワッツアップなど別のメッセージアプリへの移動を持ちかけられる
  • 画像のやり取りを求められる、あるいは手元の写真を加工されて、脅しが始まる
  • 「友達や家族にばらまく」と言って、お金を要求される。送り先は、ギフトカードや暗号資産、そして日本ではPayPayのような送金アプリのことも

しかも相手は、海外からメッセージを送ってきていることが多い。

犯人が別アプリへ移動させる理由は、ケースによって違う。でも少なくとも、そこで相手は、最初に接触したサービスとは別の環境へ会話を持ち出せる。

だから知らない相手から突然「こっちで話そう」と言われたら、一段警戒して。

初対面なのに二軒目を指定してくる人、現実世界でもだいたい警戒するでしょう。まして相手は、プロフィール写真すら本人かわからないのよ。

送金アプリの便利さは、犯人にとっても便利

ここは、お金のブログとしてきちんと書いておきたいところ。

PayPayのような送金アプリのおかげで、あたしたちは友達との割り勘も、子どものお小遣いも、ボタン一つで済むようになった。銀行の窓口に並んでいた時代から考えれば、本当に便利よ。

でも、便利さは誰にでも平等なの。

子どもが自分のスマホで、自分の判断で、すぐにお金を動かせる。それは同時に、犯人にとっても「親に気づかれる前に、子どもから直接お金を受け取れる」ということでもある。

調査報道のTansaは、セクストーションの被害者が、Amazonのギフトカードのほか、PayPayで支払わされていたケースを伝えているわ。同じ人物から何度も支払いを要求されたケースもあった。

キャッシュレス化で、お金の流れは速く、軽くなった。それ自体は悪いことじゃない。ただ、悪人はいつも、いちばん速くて軽い道を選ぶのよ。

アプリが悪いわけじゃない。包丁が料理にも凶器にもなるのと同じ。だからこそ、包丁と同じように、家の中での使い方を決めておく必要があるの。

払っても、終わらない

ここで絶対に覚えておいて。

払えば終わる、ではない。FBIも、犯人の要求に従ってお金や追加の画像を送っても、脅しや嫌がらせが止まることはまれだとしているわ。

犯人から見れば、一度払った人は「もう一度脅せる人」になりうる。

そもそも「5万円払ったら紳士協定で削除します」なんて言う犯罪者が、利用規約だけ急にコンプライアンス優等生になるわけないでしょう。

脅迫犯の「これで最後」は、通販番組の「今回限り」より信用しちゃダメ。

そして、送金アプリで一度送ったお金を取り戻すのは、簡単じゃない。だからこそ、「払う前に親に言う」がすべてなのよ。

狙われやすいのは、男の子でもある

ここは親の思い込みを一つ外しておきたいところ。

FBIによると、お金目当てのセクストーションの典型的な被害者は、14〜17歳の男の子。犯人の多くは米国の外にいて、ナイジェリアやコートジボワールなど西アフリカ、フィリピンなど東南アジアの国々にいることが多いとされているわ。

米国の非営利団体NCMEC(全米行方不明・被搾取児童センター)には、2025年、お金目当てのセクストーションの通報が5万件以上寄せられた。1日平均137件。2024年の3万6,000件超から、さらに増えている。

1日137件。朝昼晩どころじゃない。約10分に1件よ。

しかもこれは「恋愛」でも「誘惑」でもない。子どもの羞恥心を人質にした、ただの集金業。

最新AIを使ってやることが「親にばらすぞ、金払え」。技術だけ未来、発想は恐喝電話。子どもの恥ずかしさを現金化しようとしているだけで、起業家じゃないの、犯罪者なの。ピッチデックはいらないから、手錠をどうぞ。

「うちは男の子だから大丈夫」は、むしろ一番危ない油断かもしれない。そして、海外から送られてくる以上、「日本語が少し変だから気づくはず」も過信しないで。翻訳ツールが、その違和感をどんどん消しているの。

AIで「送っていない画像」まで作られる

Bloombergの調査報道では、ダウンロードして手元のパソコンで動かせるオープンウェイト型などのAIモデルが、子どもの性的虐待画像の生成に悪用される問題が取り上げられている。10人以上の児童保護の専門家や捜査関係者が、この問題を証言しているわ。

問題は、AIそのものが突然悪魔になったことじゃない。使っている人間よ。

クラウド上のサービスなら、運営会社が利用を検知したり、生成を拒否したり、アカウントを止めたりできる。でもモデルを手元に落としてローカル環境で動かせば、生成物が企業のサーバーを通らない場合がある。

つまり犯人側からすると、「監視されるなら、監視されないところでやればいい」。驚くほど文明レベルの低い結論に、最新AIだけ使ってたどり着いているの。

頭脳は2026年、倫理観は洞窟。

英国の監視団体IWFも10月5日、2026年1〜6月の半年間で、AIで生成された6,310点の画像が児童性的虐待画像の法的定義に当てはまったと発表した。2025年1年分の4,512点を、半年だけで40%上回っているわ。

そして親として覚えておきたいのは、ここ。

AIが加わると、子ども自身が性的な写真を送っていなくても、ふつうの写真を加工して偽の性的画像を作ることができる。FBIも、画像は加工されたり盗まれたりしうると注意を促しているわ。

だから「変な写真を送らなければ大丈夫」だけでは、もう子どもを守りきれないのよ。

日本のあたしたちへ

日本でも、半年で倍になった

警察庁によると、2026年1〜6月に全国の警察が把握した、18歳未満の実在する子どもを使った「性的ディープフェイク」は123件。前年同期の60件から約2倍に増え、2025年1年間の114件を、たった半年で上回った。

ただし、ここは数字を正確に分けておきたい。123件すべてが生成AIによるものと確認されたわけではなく、このうちAIやスマホの画像加工アプリによるものと確認されたのは38件。

被害者は中学生が79件で最も多く、中高生で9割を占めた。

そして、もう一つ怖い数字がある。加害者の約7割は、同級生や同じ学校の生徒だった。

つまり危険は、海の向こうの謎の犯罪者だけじゃない。翌朝、普通の顔をして同じ教室に座っている人間が、加害者になることもある。

AIだけ未来に進んで、人間の倫理が校門前に置き去り。技術革新って、そこまでセットでお願いしたいのよ。

セクストーションそのものの相談も増えているわ。デジタル性暴力の被害者を支援するNPO法人ぱっぷすには、2025年度、前年度の1.6倍にあたる約3,000人から相談が寄せられた。そのうち36%が男性で、性別不明の45%を除けば、女性の19%を上回っている。ここでも「男の子は大丈夫」は通用しないの。

子どもに伝えること:「返さない・消さない・払わない・すぐ言う」

とにかく相手を無視すること。そして、親に相談すること。これがいちばん大事。

ただ「無視」は、「何もなかったことにする」とは違うの。脅されたときの動きは、この4つで覚えておいて。

  • 返さない:相手に返事をしない。追加の画像も絶対に送らない
  • 消さない:相手のアカウント名やメッセージは、画面ごと残しておく(あとで証拠になる)
  • 払わない:PayPayでも、ギフトカードでも、一切払わない
  • すぐ言う:親か、信頼できる大人にすぐ話す

そのうえで、相手をブロックして、アプリの運営に通報する。FBIも、メッセージやプロフィールを保存したうえで、通報、ブロック、信頼できる大人への相談を勧めているわ。

ぱっぷすも、一度でも支払えば要求は続いてしまうとして、絶対に応じず、すぐにブロックするよう呼びかけている。要求に応じ続けると、特殊詐欺の受け子や出し子に引き込まれるおそれまであると警告しているの。

親がすること:「絶対に叱らない」、送金の上限、そして相談先

親の約束は、「話してくれたら、絶対に叱らない」。

ここは条件をつけないでほしいの。「今は叱らない。でもあとでスマホの使い方について話そうね」でもない。少なくとも、被害について相談してきたこと自体は、最後まで叱らない。

だって犯人がいちばん利用したいのは、スマホでもAIでもないから。

「親に知られたら怒られる」という、子どもの恐怖よ。

犯人はそこに住み着く。だから親が先に、その部屋を潰しておくの。

「何を送っていてもいい。どのアプリを使っていてもいい。脅されたら私に言って。あなたを叱らない」

これを、事件が起きる前に言っておく。

犯人からしたら最悪よ。せっかく「親には言えないだろ」と踏んで脅したのに、

「ママ、変なのきた」で終了。

最新AIと海外送金まで用意した犯罪計画が、親子の会話一本で崩れる。ざまあなのよ。

FBIも、被害に遭った子どもに向けて「あなたのせいじゃない、一人じゃない」と伝えているわ。米国では、追い詰められた子どもが自ら命を絶ったケースも報告されている。一人で抱え込ませないことが、何よりの防御なの。

犯人が最も嫌うのは、高性能なセキュリティソフトだけじゃない。脅された瞬間に親へスクショを見せる子どもよ。

それから、お金の仕組みの側でもできることがある。

子どもが送金アプリを使っているなら、送金の上限を家族で決めておくこと。PayPayには、支払い、送る、チャージのそれぞれについて、1日ごと・1カ月ごとの利用上限を設定できる機能がある。使いすぎ防止のためだけじゃない。万が一のとき、子どもが追い詰められて大金を送ってしまうのを防ぐ、ブレーキにもなるの。

大事なのは、こっそり監視することじゃない。「なぜ上限を決めるのか」を、子どもと一緒に話すこと。それ自体が、「お金を要求されたら、まず家族に言う」という約束の練習になるから。

いざというときの相談先も、スマホにメモしておいて。

  • 警察相談専用電話:#9110(危険が迫っているときは110番)
  • 性犯罪被害相談電話:#8103(24時間・通話料無料)
  • 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター:#8891(医療・心理・法律などの支援につなげてくれる窓口)
  • こどもの人権110番(法務省):0120-007-110(平日8時30分〜17時15分)
  • 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310

画像の拡散が心配なときは、NCMECが提供する無料サービス「Take It Down」もあるわ。18歳未満のときに撮られた性的な画像や動画について、参加しているオンラインサービス上での共有を止めたり、削除を助けたりしてくれる仕組みよ。匿名でも使えて、画像そのものを送る必要もない。ただし、ネット全体から消してくれるわけではないので、そこは知っておいてね。

最後に、親自身にできることをもう一つ。子どもの顔がはっきり写った写真を、誰でも見られる場所に気軽に上げすぎないこと。かわいい写真ほど、残念ながら材料にもなりうる時代なのよ。

今日のまとめ

  • 手口には型がある。親しげなDM、別アプリへの誘導、そして海外からの脅し。知らない相手の「こっちで話そう」が最初の赤信号
  • 送金アプリは便利。でもその便利さは、子どもから直接お金を受け取りたい犯人にとっても便利
  • 払っても終わらない。脅迫犯の「これで最後」は、通販番組の「今回限り」より信用できない
  • 狙われるのは女の子だけじゃない。国内の相談でも、男性が女性を上回っている
  • AIで「送っていない画像」まで作られうる。だから「自分が悪くなくても言っていい」と先に伝えておく
  • 脅されたら「返さない・消さない・払わない・すぐ言う」。親は送金の上限を決め、条件なしで「絶対に叱らない」

緊急時の4つの動きと、親子の2つの約束。子どもは「脅されたら返事をしない。すぐ親に言う」、親は「話してくれたら、絶対に叱らない」。この2段構えでいきましょう。

世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。

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※本記事はBloomberg、FBI(米連邦捜査局)、NCMEC、IWF、警察庁、こども家庭庁、法務省、文部科学省、警視庁、NPO法人ぱっぷす、Tansa、PayPay等の公開情報をもとに構成しています。数値は各発表時点のものです。相談窓口の受付時間やアプリの機能は変更されることがありますので、最新の情報は各機関・各サービスのサイトでご確認ください。

この記事を書いた人

40代、元外資テック・米銀行、米国生活経験あり。
東京で愛犬と暮らす観察者。
「経済的自立」がモットー。

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