物価が「下がるのをやめた」日|米PCE3.7%、消費は止まった。インフレは止まらなかった。

米国の7月PCE物価指数が高止まりし利上げ観測とドル高円安を招いた市況を象徴する、下向きに折れかけて途中で止まった価格チャートの矢印と薄暗い金融街のビル群を重ねた、バーガンディとチャコール基調のシネマティックで絵画的なデジタルイラスト 経済

ダイエットで一番くじけそうになるのって、いつだと思う?

太ってる時じゃないのよ。順調に痩せてたのに、ある朝突然体重が止まった時。

「あれ、昨日までスルスル減ってたのに、なんで?」って、あの瞬間が一番つらいの。

今日のアメリカ経済は、まさにそれ。物価が、痩せるのをピタッとやめちゃったの。

昨日の夜、アメリカで大事な物価の数字が発表されたの。「PCE価格指数」って呼ばれてるやつ。名前は難しそうだけど、ざっくり言えば「アメリカで、モノやサービスの値段がどれくらい上がってる?」を見る温度計。しかも、アメリカの中央銀行が特に重視してる大事なやつ。

7月は、前の年の同じ月と比べて3.7%の値上がり。前の月と、まったく同じだった。

つまり物価が下がったわけでも、さらに上がったわけでもない。痩せてない。でも太ってもない。体重計の数字だけが、無言でこっちを見てる。一番モヤモヤするやつよ。

数字は「上がった」んじゃなくて「下がらなかった」

ここ最近、みんなが期待してたのは「このまま値上がりの勢いが、もう少し弱まってくれない?」という展開だったの。

ところが7月。前年比3.7%で、6月と同じ。食べ物とエネルギーみたいな値動きの激しいものを除いた数字(コアっていうの)も3.3%で、これも前の月から動かなかった。

下がってほしいのに、下がらない。しかもね、アメリカの中央銀行が目指してるゴールは「2%」なの。今は3.7%。「もうゴールは目の前でしょ?」って言ったら、中央銀行から「どこがよ」って返される距離なのよ。

ゴールの看板は見えてるのに、乗ってた動く歩道が止まっちゃった感じ。

なんで物価は止まっちゃったの?

ここが今回、ちょっと気持ち悪いところなの。

「アメリカ人がバンバン買い物してるからでしょ?」って思うじゃない?ところが、そうでもないのよ。

同じ日に出たほかの数字を見ると、7月はみんなの収入はちゃんと増えてた。なのに、値段の変動を差し引いて考えると、実際の買い物の量はほとんど増えてなかったの。

つまり、お金は少し増えた。でも、そんなに使ってない。なのに物価は下がらない。

これ、中央銀行からしたら結構イヤなやつなの。

もし景気が絶好調で、みんなが買いまくってるなら話しは簡単。「はいはい、世の中が盛り上がりすぎて熱いのね」で説明がつくもの。ところが今回は、みんなそんなに浮かれて買ってるわけでもないのに、物価だけが強気で下がらない。

お客さんはそんなに踊ってないのに、お店だけまだ強気の「クラブ料金」を取ってる感じ。

値段って、一度上がっちゃうと「じゃあお客さんが減ったから明日から元通り」って、素直には下がってくれないのよね。だから今回は「アメリカ人が元気すぎる」って話しじゃなくて、買い物が鈍ってもインフレがしぶとく居座ってることのほうが、気になるポイントなの。

ここで登場する「金利」というブレーキ

で、この「物価が下がらない」問題に、頭を抱えてる人たちがいるの。アメリカの中央銀行(日本でいう日銀みたいなところ)よ。

彼らの仕事は、物価が上がりすぎないように見張ること。物価が熱くなりすぎたら、「金利」っていうブレーキを踏むの。

金利って何?って話しよね。ざっくり言うと「お金を借りたときに、上乗せして返す分」。この上乗せを大きくすると、みんな「借りると高くつくな、やめとこ」ってお金を使わなくなる。

世の中に出回るお金が減るから、物価の熱も冷める。逆に上乗せを小さくすると、みんなお金を借りて使うから、経済がにぎやかになる。これを上げ下げして、経済の温度を調整してるわけ。

今回、物価が下がりきらなかったから、市場では「もしかして、次はブレーキを踏む(=金利を上げる)のかも?」という見方が、昨日より少し強まったの。9月にブレーキを踏む確率は、だいたい4割くらい。まだ「上げます」じゃないの。「上げるかもしれません」が、昨日よりちょっとだけ怖くなった、という段階よ。

ブレーキの噂だけで、円が安くなった

ここからが、日本のあたしたちに関係してくる話し。

「アメリカがブレーキを踏むかも(=金利を上げるかも)」という噂が広がると、面白いことが起きるの。

お金って、たくさん増える場所に集まりたがるの。アメリカの金利が上がりそうってことは、「アメリカにお金を置いとくと、日本に置くより増えそう」ってこと。だからみんな、手持ちのお金をドルに換えたがる。ドルが人気者になるの。

ドルが人気になると、その反対で円は選ばれにくくなる。人気の差で、円の値段が下がる。これが「円安」よ。昨日も実際、円が一時1ドル=159円45銭まで下がったの。

円が安くなると、あたしたちの生活には地味に効いてくる。海外から買うもの(石油とか食べ物とか)が、割高になるから。アメリカの偉い人たちが会議室で「ブレーキ踏もうかな」ってつぶやいただけで、巡り巡って、日本のスーパーの値札にまで届く。世界って、こういうふうに繋がってるのよね。

で、みんな金曜日をドキドキして待ってる

じゃあ本当にアメリカはブレーキを踏むのか。その一番のヒントが、今週の金曜日にあるの。

アメリカの中央銀行のトップ(ウォーシュさんという議長)が、金曜に大事なスピーチをするの。この人が就任したのは、まだ数カ月前。だから市場には「ウォーシュさんが、物価に対してどれくらい厳しく出るタイプなのか」を見極める材料が、まだ少ないの。

だからこそ、この金曜のスピーチにみんな注目してる。昨日の物価が「下がりきらなかった」せいで、その注目度がぐっと増したのよ。テストの結果発表を待つ教室みたいな空気ね。「金曜まで、下手に動かず待っとこ」って、市場全体が息を潜めてるの。

今日のまとめ

  • アメリカの物価の数字(PCE)が発表。上がりも下がりもせず、前の月と「同じ」だった
  • 問題は「同じ」だったこと。もう少し弱まってほしかった値上がりの勢いが、7月でピタッと足踏み
  • しかも収入は増えたのに、実際の買い物はほぼ横ばい。それでも物価は下がらなかった。「みんなが買いすぎ」だけでは説明しにくい、しぶとい物価が残った
  • 「物価が下がらないなら金利を上げる(ブレーキ)かも」の観測が強まり、ドル人気→円安(一時159円45銭)
  • 全員の視線は金曜のウォーシュ議長のスピーチへ。市場は答え合わせを待って息を潜めてる

世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。

Inflation didn’t accelerate. It just refused to leave.


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※本記事はブルームバーグ、ロイター、CNBC、Fox Business、Axios、および米経済分析局(BEA)の公開情報をもとに構成しています。

この記事を書いた人

40代、元外資テック・米銀行、米国生活経験あり。
東京で愛犬と暮らす観察者。
「経済的自立」がモットー。

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