昨日7月14日、6月の米消費者物価指数(CPI)が出たわ。約束通り、通知表の日がきたわ。市場のみんな、朝から子どもの通知表を握りしめる保護者みたいな顔してたのよ。
結論から言うわね。数字は冷えた。でもFRBだけ、ひとりサウナから出てこないの。 この温度差が、今日の全てよ。
まず数字:久しぶりに「胃薬いらない日」だったCPI
6月のCPIは前年同月比で3.5%上昇。市場予想の3.8%を下回って、5カ月ぶりに伸びが鈍化したの。先月が4.2%(3年ぶりの高さ)だったから、そこからの減速はまあまあ大きい。
久しぶりに市場が「え、今日は胃薬いらない日?」って思えた数字だったわ。
もっと目を引いたのが前月比よ。マイナス0.4%——前の月より物価が下がったの。これ、実に6年ぶりの低下幅。そして基調的な物価を示すコア指数(食品とエネルギーを除く)は前月比で横ばい(0.0%)、前年比では2.6%まで下がった。エコノミストの予想より軒並み低い、いい数字が並んだわ。
で、今回のMVPはガソリン。株でもAIでもない。ガソリンが今日のヒーロー。なんか地味だけど。
6月はガソリン価格が前月比で約9.7%も下落したの。理由は覚えてるでしょ——6月の米イラン停戦の覚書署名で、原油が1バレル90ドル台から60ドル台まで落ちた、あれ。その恩恵が、まるっとこのCPIに効いたわけ。
先月まであたしたちを苦しめてたエネルギー高が、今回は逆に物価を冷やす側に回ったの。
……って市場は5分くらい喜んでたんだけどね
数字だけ見れば「インフレのピークは過ぎた、めでたしめでたし」なの。実際、発表直後の市場はそう反応したわ。米国株の先物は上がって、米国債の利回りは下がって、ドル円は一時161円60銭台まで円高に振れた。「これで利上げは遠のく」——市場は瞬間的にそう囃したの。
でもね、市場の歓喜、賞味期限5分。理由を3つ、並べるわね。
理由その1:この数字、賞味期限が短すぎるのよ。 6月のCPIは、原油が安かった6月の話し。でも7月に入って何が起きた? そう、昨日あたしが書いたトランプの「ホルムズ20%通航料」宣言よ。……ところがこの通航料、湾岸諸国の「やめて」の一言で、打ち出しからたった1日で撤回されたの。原油市場、感情の起伏だけは思春期の男子並み。でもね、料金は引っ込んでも、米軍のイラン船舶封鎖は日本時間15日朝から再開。つまり値上がりの火種は消えてないの。原油は一時85ドル超まで跳ねて、まだ高いところで踏みとどまってる。物価を冷やしてくれた6月のガソリン安は、もう剥がれ始めてるってことよ。通知表は届いた。でも先生はもう次のテストを作ってた。夏休みだと思ってゲーム始めたら、「明日、小テストね」って言われるやつよ。
理由その2:ウォーシュ議長が、冷や水をかけた。 CPIと同じ日、FRBのウォーシュ議長が就任後初めての議会証言に立ったの。市場が「利上げ終わったーー!!」ってクラッカー鳴らしかけた瞬間、ウォーシュが部屋の電気を消した。議長はこう釘を刺したわ。「FRBは根強い高インフレを容認しない」。物価安定を公約して、金利の先行きについては何も甘いことを言わなかった。市場「乾杯〜!」FRB「座れ!」——この一言でドル円は162円まで反発。先週の議事録で見た”タカ派の家族”は、CPIが1回冷えたくらいじゃ、まったく態度を変えてないの。
理由その3:市場はむしろ「7月利上げ」を織り込み始めてる。 意外でしょ? CPIが冷えたのに。でもね、CPIを見て安心したのは株式市場。債券市場は「いやいや、まだ帰るな」って顔してた。実際、債券市場では7月末のFOMCでの利上げ確率が約50%まで高まってるの。ハト派で知られてたウォラー理事まで「近い時期の利上げを検討すべき」と言い出した。弱い数字が1つ出ても、FRBの視線は”次の原油高”の方を向いてるってことなのよ。
整理するとこう。CPIという通知表は良かった。でも採点者(FRB)は赤ペンを置く気がない。 採点者(FRB)って、一問ミスしただけで「次もこうなると思います」って内申点まで下げる先生タイプなのよ。
日本への影響
さて、あたしたちの財布の話し。
ドル円:161円まで円高、でもまた162円へ
今回のCPIで一番わかりやすく動いたのが為替よ。数字が予想より低かった直後、「米国の利上げが遠のく」との見方でドルが売られて、ドル円は一時161円60銭台まで円高に振れたの。円さん、数時間だけ息を吹き返したわ。
でも、そのあとウォーシュ議長の「高インフレを容認しない」発言で、ドル円はすぐ162円台に反発。結局、円高の出演時間は約3時間で終了よ。日米の金利差という重力が、円をまた下へ引っ張り戻したの。1日の高値162円84銭という39年半ぶりの円安水準は、まだすぐ目の前にある。介入警戒も続いたまま。
CPIが1回冷えたくらいじゃ、円安の景色は変わらないってことよ。
家計:ガソリン安の恩恵は、届く前に消えるかも
アメリカのCPIを見て「向こうはガソリンが下がっていいわね」って思った? 日本も同じ構造なんだけど、タイミングがずれてるの。6月の原油安が日本のガソリン・電気代に効いてくるのは、数週間から数カ月あと。でもその原油安、7月のホルムズ20%騒動でもう逆回転を始めてる。つまり日本の家計に「安くなった恩恵」が届くころには、次の値上がりが追いついてくる可能性があるの。
セール会場に着いたら、閉店10分前だったってやつよ。先々週から何度も書いてる「恩恵が届く前に逆回転」、それがまた繰り返されようとしてるわ。
教訓:発表される数字は、いつも「少し前の世界」
今回で一番覚えて帰ってほしいのはこれ。
CPIって、インスタの旅行写真みたいなものなの。投稿された頃には、本人もう空港にいる。経済指標は、発表された時にはもう“過去の写真”なのよ。6月の数字を7月に見て一喜一憂しても、世界はもう次に進んでる。
あたしたちにできるのは、古い写真に振り回されることじゃなくて、今リアルタイムで動いてる原油と為替を見ること。数字の発表日に踊らされず、自分の家計の温度を自分で測る——それが、指標に振り回されない生き方よ。
まとめ:通知表より来月の抜き打ちテスト
6月のCPIは、よく冷えた通知表だったわ。でもFRBは「褒める」より「疑う」がデフォルト設定。市場が一瞬見せた「これで安心」は、ウォーシュ議長の一言で吹き飛んだ。
市場は一日で恋に落ちる。でもFRBは、半年付き合っても信用しないの。だから利上げの警戒は消えないのよ。
覚えておいて。インフレは、下がり始めた時がいちばん油断できないの。1回冷えた数字に「もう大丈夫」と気を緩めた瞬間、原油が、為替が、また牙をむく。相場は、安心した人から置いていくのよ。
相場は毎日「大変よー!」って大騒ぎする。金融ニュース界隈って、だいたい毎日が最終回なのよ。だからこそ、自分まで毎日最終回にならなくていい。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
Inflation cooled. The Fed didn’t.
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※本記事はブルームバーグ、時事通信、共同通信、みんかぶ、財経新聞等の公開情報をもとに構成しています。


