昨夜21時30分(日本時間)、6月の米雇用統計が発表されたわ。
今回は7月4日の独立記念日の関係で、いつもの「第1金曜日」より1日早い木曜発表。
しかも市場は先週からずっと「雇用が強すぎたらどうしよう」って身構えてたの。強い雇用→利上げ確定→株安。市場って、本当に面倒くさい恋人みたいよね。「頑張りすぎても怒るし、頑張らなくても怒る」。
で、出てきた数字は——真逆だったの。
出てきた数字:予想のほぼ半分
6月の非農業部門雇用者数は5.7万人増。市場予想の11.3万人増を大幅に下回って、ここ4カ月で最も弱い伸びだったわ。半分っていうか、もはや「欠席扱い」でしょ。
しかも過去分の下方修正がセットできたの。4月分は17.9万人増→14.8万人増へ、5月分は17.2万人増→12.9万人増へ。2カ月合計で7.4万人分が「なかったこと」になったのよ。
テストの点数が返却後にこっそり下げられるようなものね。「やっぱ昨日の95点、88点だったわ。」……そんな学校あったら教育委員会案件よ。
一方で失業率は4.2%と、前月の4.3%から改善。平均時給は前月比+0.3%、前年比+3.5%で、こちらはほぼ予想通りだったわ。
数字だけ並べると「雇用者数は弱い、失業率は改善、賃金は普通」っていうチグハグな成績表。
この読み解きは後でやるとして、まず市場がどう動いたかを見ましょ。
「弱いのに安心」という逆さまの世界
前提をおさらいするわね。6月のFOMCでウォーシュ議長率いるFRBは政策金利を3.50〜3.75%で据え置いたけど、ドットチャートは年内の追加利上げを示唆してた。
つまり市場が怖がってたのは「雇用が強すぎて、利上げが確定すること」だったの。
そこにきた「予想の半分」の雇用者数。市場の反応はこうよ。
- 利上げ観測が後退:ロイターによると、7月会合での利上げ確率は2割弱まで低下。9月の利上げ確率も発表前の約75%から約60%へ下がったわ。昨日まで「利上げくるぞー!」って大騒ぎしてた人たちが、一斉に「そんなこと言いましたっけ?」って顔してる。市場って記憶喪失になるの早いのよ
- 金利は低下:米10年債利回りは4.50%付近から4.45%台へ急低下
- ドルは売られた:ドル円は発表直前の161円台半ばから、一時160円台半ばまで急落
- 株はまだら模様:ダウは一時450ドル超上昇したあと上げ幅を縮小。一方ナスダックは軟調で、1%超安の場面もあったわ(※いずれも米東部時間2日の取引中の動き)
「景気が悪いニュースで株が上がる」——初めて見ると意味不明よね。でもカラクリは単純。
いま株が見てるのは景気じゃなくて金利なの。
景気:「ねぇ、私のこと見てる?」
市場:「あとで。」
利上げが遠のくなら、弱い雇用は株にとって「ご褒美」になる。逆に景気が良すぎると利上げがくるから「お仕置き」になる。
太ったら褒められて、痩せたら怒られる世界。基準がおかしいのは市場のほうよ。
ただしナスダックが上がりきれなかったのは、AI・半導体株の重さという別の話しが続いてるから。AI株は最近ずっと「もう一口だけケーキ食べようかな……いや太るかな……」って迷ってる人みたいな値動きなのよ。
利上げの心配がひとつ減っても、「AI株、そもそも高すぎない?」っていう警戒は別問題として残ってるの。
頭痛薬を飲んでも腹痛は治らないのと一緒よ。
でも中身を見ると素直に喜べない
ここからが本題。
「失業率4.2%に改善」って見出しだけ見ると良い話しに聞こえるけど、中身にはトリックがあるの。
労働参加率が61.8%から61.5%に低下してるのよ。失業率の分母は「働いてる人+職を探してる人」。つまり職探し自体をやめた人が統計から消えると、雇用が増えてなくても失業率は下がる。
教室から欠席者が消えたら出席率が上がった、みたいな計算マジックね。数字って便利よね。都合が悪い人が統計から消えると、急に優等生っぽく見えるんだから。
業種別に見ると、伸びたのは専門・ビジネスサービス(+3.6万人)、社会福祉(+2.5万人)、医療(+2.2万人)。一方でレジャー・宿泊は6.1万人の大幅減。夏場に採用が盛り上がるはずの業種が凹んでるのは、季節要因の弱さに加えて、ワールドカップ関連採用の反動の可能性も指摘されてるわ。
夏なのに海の家が暇。ちょっと嫌な予感はするわよね。
つまり整理するとこう。
- 「強すぎ」の恐怖はひとまず回避された
- でも「弱すぎ」が本物なら、次に心配するのは利上げじゃなくて企業業績と景気そのもの
- 市場は今、「ちょうどいい弱さ」だと解釈して安堵してる段階
安堵と楽観は別物よ。
試験範囲の山が外れただけで、テスト自体が終わったわけじゃないの。
日本への影響
さて、あたしたちの足元の話し。
ドル円:162円台から一時160円台へ
今週のドル円は39年半ぶりの円安水準となる162円台まで上昇して、政府・日銀の為替介入への警戒が最高潮だったのよね。
そこにこの雇用統計。発表直後、ドル円は161円台半ばから一時160円台半ばまで急落したわ。
介入を待たずに、米国の統計が円高方向に動かしてくれた形。
財務省からすれば「タダで1円動いた」ようなものね。お役所的には「ありがとうございます。経費ゼロです。」って感じかしら。
ただし、勘違いしちゃいけないのは、日米の金利差という土台は変わってないこと。
日本の政策金利と米国の3.50〜3.75%の差は依然として大きくて、市場では「一時的に円高に振れても、押し目ではドル買いが入りやすい」という見方も根強いわ。
円安が終わったと決めつけるのも、続くと決めつけるのも、どっちも早いのよ。もっとも、介入警戒そのものが消えたわけじゃないわ。162円がまた見えてくれば、当局の視線は再び鋭くなる。この綱引きはまだ続くのよ。
日経平均:昨日の1741円安は「雇用統計前」の話し
「昨日日経すごい下げたけど、雇用統計のせい?」って思った人、いるでしょ。違うわよ。
7月2日の日経平均は1741円81銭安の6万8733円15銭で大引け。
これは雇用統計の発表「前」の下げで、主因はアップルが中国半導体メーカーからのチップ調達を検討していると報じられ、キオクシアなど半導体・メモリ関連が急落したこと。先週から続くAI・半導体相場の調整という、別の物語なの。
日経平均は上半期だけで39%上昇という歴史的な急騰をしてきたから、「雇用統計が強すぎて急落」というのが昨日までの最悪シナリオだった。その形の急落は、ひとまず回避されたわね。
新NISA組へ:今夜、米国市場はお休み
ひとつ実務的な話し。今日7月3日(金)は独立記念日の振替で米国市場は休場。
昨夜の雇用統計に対する「答え合わせの続き」は、週明けまでお預けなの。
S&P500系の投資信託を積み立ててる人にとっては、円高は基準価額にマイナス方向、米株高はプラス方向の綱引き。積立を止めるか続けるかは、あなたのお財布と精神年齢の問題。それに今晩はチャートを眺めても米国市場は動かないんだから、久しぶりに早く寝るのも立派な戦略よ。
まとめ:山を張った範囲の外から問題が出た
「強すぎたらどうしよう」って全員で身構えてたら、出てきたのは「弱すぎ」。
市場って、みんなが同じ方向を警戒してる時ほど、逆を突いてくるのよね。
試験勉強と一緒。山を張った範囲の外から出題される。市場ってね、空気を読むんじゃないの。空気を読んでる人を狙って殴ってくるのよ。
そして忘れないで。利上げ観測の後退で株が喜ぶのは、あくまで金利の話し。
雇用が減速してるという事実そのものは、アメリカで働く人たちにとって良い話しじゃないし、それが続けば巡り巡って企業の売上の話しになる。今日の安堵が来月の心配の種、なんてことは市場では日常茶飯事よ。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
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※本記事はロイター、日本経済新聞、みんかぶ等の公開情報をもとに構成しています。


