一昨日、あたしはこう書いたわ。「原油、余るかもしれない」って。
48時間後の今朝——ホルムズ海峡で船が燃えて、米軍が動いて、WTI原油は一時6%高。
原油さん、情緒どうしたのよ。
一昨日まで「余ってますぅ🥺」って顔してたのに、今日は「戦争です🔥」って。誰かこの子にメンタルクリニック紹介した方がいいんじゃないかしら。
ええ、分かってるわよ。書いた本人が一番「おいおい」って言ってるんだから。ただね、同じ記事にこうも書いておいたの。「『余る』はまだ懸念であって、確定じゃない」「中東発のニュース一本で価格が跳ね返るリスクは消えてない」。一本ならまだ心の準備もできるのよ。でも三本まとめてくると、もうニュースというよりサプライズボックスなのよ。しかも全部ハズレじゃなくて爆弾。
※この記事は8日朝の執筆時点の情報に基づいてるわ。状況は流動的だから、最新情報は必ずニュースで確認して。
何が起きたか:48時間の時系列
- 6日:米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡を通過中の商船2隻をミサイル攻撃したと報道(米政府高官談)。英海事機関(UKMTO)はオマーン東部沖でタンカーが正体不明の飛翔体を受けて火災と発表
- 7日:カタール外務省によると、イランがカタールのLNGタンカー「アル・レカヤット」を攻撃。被害は計3隻となり、ブルームバーグは「米イラン合意後で最多」の船舶攻撃と報道。これを受けて米財務省は、イランに石油販売を認めていた制裁免除を撤回する方針。WTI原油先物は一時約6%上昇し、前日の68ドル台から72ドル台へ急騰したわ。もう海運会社からしたら、「今日は何も燃えてませんように」が朝礼になってても驚かないわ
- 7日:イラン外相は「安全保障上の脅威が続く限り、最終和平交渉は進展しない」。トランプ大統領は「合意に達するか、米国が『仕事を終わらせる』かだ」と警告
- 8日朝(日本時間):米軍がイランへの新たな攻撃を開始(ブルームバーグ)。同じ朝、イランは「ホルムズ海峡の一部は領海」と主張する文書を国際海事機関(IMO)に提出
交渉のテーブルの下で、経済のカード(制裁免除の撤回)と軍事のカード(攻撃再開)と法律のカード(領海主張)が同時に切られてる。これがエスカレーションの階段よ。
「余る心配」は間違いだったの?
相場ってね、「昨日の正解」を今日の不正解にするのが趣味なのよ。本当に性格が悪い。
供給過剰の材料は、実は今日も消えてないの。OPEC+の8月増産は決まったままだし、サウジアラムコは昨日、アジア向けの原油販売価格を引き下げたばかり(値下げは「売りたい側」の行動よ)。値下げした翌日に原油が急騰するなんて、スーパーで半額シール貼った瞬間に全員が棚へ突撃してくるようなものよ。需要見通しの下方修正も生きてる。
実際、攻撃のニュースが出た直後ですら、原油は「2月下旬以来の安値圏の近く」から抜け出せずにいたの。市場の腰は、まだ「余る」側に残ってた。
そこに地政学プレミアムが再点火した。市場って、本当に火を見ると燃えたがるわね。あたしはガスコンロだけで十分なんだけど。
つまり今の原油は、「余る力」と「燃える力」の綱引きなの。
一昨日の記事は前者を、今日のニュースは後者を語ってる。どっちかが噓なんじゃなくて、両方本当——だから価格は48時間で6%も跳ねるのよ。
予想が当たったって自慢する気はないわ。占い師じゃないのよ、あたし。水晶玉じゃなくてブルームバーグ見て書いてるの。両論を書いただけ。そして両論を書いておくことが、こういう相場で読者に対してできる唯一の誠実さだと思ってるの。
「料金所」が法律戦になった
ここ、一昨日の記事の続きとして一番ゾクッとするところよ。戦争って昔は戦車だけだったのに、今はPDFでも戦う時代なのね。
おさらいすると——6月の戦争終結の覚書は、ホルムズ海峡の今後の管理について何もコミットしてなかった。トランプ大統領は「通航料なしの開放」だと主張したけど、イラン側の発表にその記述はない。つまり通航料は、合意文書の「書いてない隙間」から生えてきた話しだったのよ。
で、今朝。イランはその隙間を法律で埋めにきたの。「ホルムズ海峡の一部はイランの領海である」という文書を、国連の専門機関であるIMOに正式提出。国際海峡には国連海洋法条約上の通過通航の考え方があるから、この主張がすんなり通るとは思えないけど、狙いは別のところにあると読めるわ——領海だと主張できれば、通航のルールも料金も「自国の権利」として語れる。
一昨日の「友好国には特別な配慮」発言と並べると、料金所ビジネスに法的な土台を敷こうとしてる絵が見えてくるのよ。
戦闘は再開したけど、同時に書類も動いてる。令和の戦争、武器フォルダとPDFフォルダが同じデスクトップに並んでるのよ。
日本への影響
さて、あたしたちの足元。今回は特に生活直結よ。
ガソリン・電気代:「安さの恩恵」が届く前に逆回転
皮肉な話しをするわね。昨日、ブルームバーグは「原油安の家計への恩恵はまだ先——価格転嫁に時間差、円安で相殺も」って記事を出してたの。その日のうちに原油が6%跳ねた。つまりあたしたち、先週までの原油安の恩恵をまだ受け取ってすらいないのに、次の値上がりリスクが先に到着したのよ。
注文した料理がくる前に、値上げ後のメニューが配られた気分だわ。しかも伝票だけ先に持ってくるタイプのお店。
構造を整理すると:原油の値動きが店頭のガソリン価格に届くまで数週間、電気・ガスの燃料費調整なら数カ月の時差がある。そこにドル円161円台の円安が重なって、ドル建て価格の低下を食い潰してた——これが昨日までの話し。
今日からは「そもそもドル建て価格が上がるかも」が加わる。家計にとっては、下りのエスカレーターに乗ってたら急に上りに切り替わったようなものね。日本人、「まだ安くならないなぁ」って待ってたら、今度は逆走開始よ。
調達の現物:日本関連の船は動けてる
パニックの前に、事実をひとつ。報道によると、少なくとも8隻の日本関連の船舶が直近でホルムズを出港済みで、そのうち5隻は各200万バレルの原油を運べるスーパータンカーよ。コスモエネルギーの原油タンカーもホルムズを通過して7月中旬に帰港予定と報じられてる。つまり現時点で、日本向けの原油の現物は動いてる。
ただし楽観の根拠にはしないで。
攻撃が続けば、4月に起きたことの再演——保険料の急騰で「通れるけど採算的に通れない」状態——が最初に来るの。道は開いてるのに財布が「今日はやめとこ」って言い出す、資本主義らしい閉鎖よね。
海峡が物理的に閉まる前に、経済的に閉まる。この順番、最近学んだばかりよね。
今日の東京市場:見るべきは3点
今日の東京は寄り付きから、
①石油関連・資源株の反応
②リスクオフがAI・半導体の調整とどう絡むか
③ドル円が「有事のドル買い」と「リスクオフの円買い」のどっちに振れるか
この3点ね。エネルギー自給率15.3%でG7最下位の国に住んでる以上、ホルムズの火は対岸の火事になったことが一度もないの。AIも半導体も資源株も、今日は全員ホルムズ海峡の機嫌をうかがいながら仕事してるのよ。
まとめ:48時間で逆回転する世界で
「余る心配」から「燃える心配」まで48時間。この速度の世界で個人ができることは、予想を当てることじゃないわ。どっちに転んでも慌てない準備——両方のシナリオを頭に置いて、家計の時差(ガソリンは数週間、電気代は数カ月)を知っておくこと。
それだけで、ニュースに殴られる側から、ニュースを読む側に回れるのよ。
世界は48時間で真逆になる。あたしの筋肉痛は、48時間遅れでやっとくるのに。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
Two days from glut to gunfire. Oil doesn’t care about your forecast.
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※本記事はブルームバーグ、日本経済新聞、ウォール・ストリート・ジャーナル報道等の公開情報をもとに構成しています。


