2026年6月7日(日)、米イラン戦争開戦から100日経過。
しかも、その節目にイランが2ヶ月ぶりにイスラエルへミサイル発射。
4月8日の停戦以来、初めての本格的なミサイル攻撃。
「fragile ceasefire(壊れやすい停戦)」、完全に揺らいでる状態。
トランプ大統領は NBC「Meet the Press」で、「停戦維持を狙う」と発言。
ただし、約5万人の米軍は中東に展開継続、「戦争が完了するまで撤退しない」。
つまり、戦争は終わってない。
そして、重要なポイント:米イラン戦争、開戦100日経過、原油は200ドルに達してない。
開戦当初、メディアは騒いだ:「史上最大の供給ショック」 「原油200ドルもありうる」
BofA(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、「事態が長期化すれば、ブレント原油は200ドルを超える可能性」と警告してた。
でも、現実は違った。
WTI 原油、6月時点で 90ドル台。
ブレント原油も100ドル前後。
「有事の原油高」の常識が崩れた。
まず、ファクト整理:米イラン戦争100日の経緯
時系列で振り返る:
| 日時 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年2月28日 | 米国・イスラエル、イランへ大規模空爆開始(米:Operation Epic Fury、イスラエル:Operation Roaring Lion) |
| 同日 | 12時間で約900回の空爆、ハメネイ師(最高指導者)暗殺 |
| 同日 | ミナブ女子校近くで約170名死亡(多くが小学生) |
| 3月1日 | イラン報復、ベイト・シェメッシュ住宅街でイスラエル民間人9名死亡 |
| 3月以降 | ホルムズ海峡封鎖、イラン全土インターネット遮断 |
| 4月8日 | 40日間の戦闘後、停戦発効 |
| 5月5日 | Operation Epic Fury 終結 |
| 4-5月 | 米イラン交渉、進展・後退繰り返し |
| 6月7日(日) | 戦争開始から100日経過、イラン、停戦後初のミサイル発射 |
つまり、40日の激戦 → 60日の不安定停戦 → 100日で再燃。
「no war, no peace(戦争でも平和でもない)」の状態。
しかも、停戦が始まってからも、
- ホルムズ海峡の事実上の封鎖、継続中
- ヒズボラとイスラエル、レバノンで衝突続く
- 米国の海軍封鎖、継続中
つまり、「停戦」って言葉、最近インフレ気味。
最近の停戦って、「別れたけど毎日LINEしてる元カップル」くらい信用できない。
停戦なのにミサイル飛ぶし、 停戦なのに軍隊いるし、 停戦なのに海峡閉じてる。
それもう、停戦なのかしら? 実態は、戦闘の小休止に過ぎない。
6/7 何が起きたか
NPR、CNN、Al Jazeera 等で確認:
1. イラン、停戦後初のミサイル発射
- 4月8日の停戦以来、2ヶ月ぶり
- イスラエルへの本格的なミサイル攻撃
- イラン側は否定する可能性あり(過去パターン)
2. トランプ大統領「Meet the Press」インタビュー
NBC で日曜放送、6/5(金)録画:
主な発言:
- 「停戦維持を狙う」
- 「約5万人の米軍を撤退しない」「完了するまで」
- 「米軍は危険な状態にない」
- 「イラン核物質回収のため、米軍派遣も検討」
- 「イスラエルにヒズボラへの『外科的攻撃』を推奨」
- 「公約破棄してない、強い軍隊を作ったのは戦争のためじゃない」(戦争批判への反論)
つまり、「戦争は終わってない、でも本格再開も避けたい」の典型的な政治家ポジション。
3. 米国、新しい外交手段
「米国、凍結中のイラン資産を湾岸同盟国へ流用、修復費に充てる」案。
これ、かなり生々しい。
「イランの凍結資産」 → 「米国の同盟国の修復費」
つまり、「敗者の財布を勝者の修復費に」。
国際金融の現実。
4. 100日経過のメッセージ
米国側:
- 「軍事的目標は達成された」(Operation Epic Fury 終結)
- でも、和平合意は遠い
- 「テロ支援終結」「核武装阻止」「弾道ミサイル制限」の目標、未達成
イラン側(保守派 Keyhan 紙、6/7 社説):
- 「米国は交渉じゃなくミサイルで撤退した」
- 「トランプのゲームを阻止せよ、交渉を停止し、バブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖せよ」
つまり、両者とも「自分が勝った」と思ってる。
人類、戦争のたびに同じ脚本。
負けたと言った瞬間、次の選挙も次の革命も危うくなる。
だから戦争って、だいたい全員が勝利宣言する不思議な競技なのよ。
なぜ原油は200ドルに達しなかった?
ここが本日の経済分析の核心。
戦争開戦当初、多くのアナリストが警告した:
- BofA(バンク・オブ・アメリカ):「事態が長期化すれば、ブレント原油は200ドル超」
- IEA(国際エネルギー機関):「世界の原油在庫が記録的なペースで減少」
- EIA(米エネルギー情報局):「2026年4月にブレント原油138ドル/バレル(高値)、月平均117ドル」
実際、4月時点では、
- WTI:95ドル付近
- ブレント:96-100ドル付近
「200ドル」の声が現実味を帯びてた。
でも、6月時点では:
- WTI:90ドル台
- ブレント:96-105ドル台
- OPECバスケット:105ドル付近
正直、市場参加者の中には、「200ドルくるぞ!」って叫びながらエネルギー株を握りしめてた人もいたと思う。
結果?
市場はいつも通り、一番自信満々な人を先に殴った
なぜ?
理由1:OPEC+の増産
OPEC+ が原油市場の安定化を目指す方針を発表。
「象徴的な意味合いが強い」(野村證券)けど、「200ドル容認しない」のシグナルとして市場が解釈。
要するに、OPEC+ が言いたかったのは、「みんな落ち着いて」ではない。
「パニックになるのは勝手だけど、値段はこっちで決めるから」である。
理由2:非OPEC加盟国の供給堅調
- 米国シェールオイル
- ブラジル、カナダ等の生産
- 「2025-2026年の供給増は、コロナ禍前の長期プロジェクトが稼働」
つまり、ホルムズ海峡封鎖の影響を、他の供給源がカバー。
昔なら、「中東が止まったら終わり」だった。
今は、アメリカがシェールを掘り、 カナダが掘り、 ブラジルが掘り、地球全体が「予備の発電機」を持ち始めた状態。
理由3:戦略備蓄の活用
- 米国 SPR(戦略石油備蓄)
- IEA 加盟国の協調放出
- 短期的な供給ショックを緩和
理由4:需要側の弱含み
- 中国経済の減速懸念
- EV 普及で長期的な石油需要減
- 利上げ局面(米国)で景気減速懸念
つまり、「有事の原油高」の常識が崩れた。
「中東で戦争 → 原油200ドル」の昭和な式、令和では通用しない。
昭和の教科書は、「中東で戦争」 → 「原油爆騰」 → 「世界終了」だった。
でも市場は、その教科書をだいぶ前にメルカリへ出品していたらしい。
世界のエネルギー構造は変わった。
ただし、今のホルムズ海峡も決して「平常運転」ではない。
例えるなら、「営業はしているけど半分シャッターが閉まってる店」状態。
もし本当に全面停止となれば、原油市場は別の計算を始める。
Keyhan 紙(イラン保守派)が「バブ・エル・マンデブ海峡閉鎖せよ」と煽ってる時点で、油断はできない。
ホルムズ海峡の現状
戦争開始以来、ホルムズ海峡は事実上の封鎖。
世界の原油の約25%、LNG の約20%が通る海峡。
封鎖継続中の影響:
- 日本:原油輸入の80%以上が中東経由 → もろに直撃
- 韓国、中国:同様に大きな影響
- 欧州:相対的に影響小(北海・ロシア・北アフリカ経由)
野村證券の分析:
「ホルムズ海峡の航行の安全性は完全には回復しておらず、湾岸諸国のエネルギー施設がイランによる攻撃によって損傷していることを踏まえると、2026年内のWTI期近物先物価格は、75~95米ドルのレンジで推移しやすい」
つまり、「100ドル超」じゃないけど、「平時の60ドル」にも戻らない。
「中立的な高水準」での膠着。
📖 関連記事 → ホルムズ海峡とは|場所・幅・なぜ重要?世界の石油25%が通る経済の大動脈
米イラン交渉、現在の状況
戦争100日、和平合意は遠い。
米国側のスタンス
- 「軍事的目標は達成」
- 「イランの核武装阻止」を強調
- 「ホルムズ海峡再開」が交渉の鍵
- ただし、トランプ「急がない」発言(6/3 過去記事)
📖 関連記事 → 米イラン交渉また態度変化|トランプ「急がない」発言でドル円160円突入間近、外交交渉の連続ドラマ
イラン側のスタンス
- 「米国はミサイルで撤退した」(保守派の論調)
- ハメネイ師後継のリーダーシップ模索中
- 「制裁解除」「ホルムズ海峡を交渉カード」として活用
仲介国
- パキスタン
- カタール
- レバノン経由でヒズボラ問題
「平和を仲介する国が増えてる」のは、それだけ難航してる証拠。
米イラン、関係性のリアリティショー、視聴率落ちる気配なし。
で、日本のあなたに関係あるの?
「米イラン戦争100日、原油200ドル達しない、それあたしに関係あるの?」
判断材料5項目。
1. 電気代・ガス代
- 日本の原油輸入の80%以上が中東経由
- ホルムズ海峡封鎖継続中
- WTI 90ドル台、ブレント100ドル前後 = 平時より高い
つまり、電気代・ガス代、しばらく高止まり。
「200ドル」じゃなくても、「平時の60ドル」じゃない。
市場を追わない人にも、請求書だけは平等なのよね。
2. ガソリン代
- レギュラーガソリン:170円台が常態化
- 中東情勢が悪化すれば、200円突破リスク
日本の家計、地味にしっかり圧迫。
車に乗らない人でも安心しないで。トラックは乗ってる。
そして、そのトラックが運ぶものは全部あなたの生活にくる。
3. 物価全般
円安 + 原油高 = ダブルパンチ
- 食料品の輸入価格、上がる
- 物流コスト、上がる
- 電気・ガス使う産業全般、コスト増
円安が続くと、CPIを見ない人でも、卵売り場の前で「え?」とは言う。
人類最大の経済ニュースメディア、実はスーパーの値札説。
4. 為替(ドル円)への影響
- 「有事のドル買い」継続
- 米軍5万人展開 = 米国の関与継続 = ドル需要
- ドル円160円付近の攻防
📖 関連記事 → 米イラン交渉また態度変化|トランプ「急がない」発言でドル円160円突入間近、外交交渉の連続ドラマ
5. 投資戦略への影響
中東情勢が長期化する局面で、何を考えるか:
長期投資の特性:
- 短期の地政学リスクに振り回されない
- オルカン、S&P500 等のインデックス積立は、戦争局面でも淡々と
- 「100日経過」で何かを変える必要はない
自分のリスク許容度:
- 中東情勢悪化で米株下落、どこまで耐えられるか
- 「200ドル原油」シナリオが現実化したら、どう動くか
エネルギー関連投資:
- 個別株(INPEX、石油元売り等)は、戦況次第で大きく動く
- インデックスに含まれる程度の間接保有が、判断しやすい
判断は、自分のリスク許容度と投資戦略次第。
こういう時、SNS には必ず現れる:
「全部売りました」 「全部買いました」 「現金100%です」の三銃士。
でも、長期投資家に必要なのは、たいてい売買じゃなくてログインしない勇気だったりする。
今後の注目点
短期(数日〜数週間):
- 6/7 ミサイル発射への米国・イスラエルの反応
- イラン、本格的な戦闘再開か?
- ホルムズ海峡の状況
- 6/16-17 FOMC、ウォーシュ初の本格会合
中期(半年〜1年):
- 米イラン交渉の進展(または停滞)
- 凍結イラン資産の動向
- 原油価格の中長期トレンド
- ハメネイ師後継のイラン体制
長期(1-2年):
- 中東の地政学的再編
- エネルギー構造の変化
- 米国の中東関与の度合い
- 日本のエネルギー安全保障
締め
2026年6月7日。
米イラン戦争、100日経過。
しかも、停戦後初のイラン・ミサイル発射。
「fragile ceasefire(壊れやすい停戦)」、完全に揺らいでる。
戦争100日、もはや慢性疾患の領域。
「終わる、終わる」と言いながら、終わらない。
トランプ大統領「停戦維持を狙う」発言の裏で、約5万人の米軍は中東展開継続。
そして、特に重要なファクト:「有事の原油高」の常識が、崩れた。
戦争100日経っても、WTI 90ドル台、ブレント100ドル前後。200ドル達してない
理由は:
- OPEC+ の増産
- 非OPEC国の供給堅調
- 戦略備蓄の活用
- 需要側の弱含み
つまり、世界のエネルギー構造、変わった。
「中東で戦争 → 原油200ドル」の式、令和では通用しない。
ただし、油断はできない。
ホルムズ海峡、事実上の封鎖継続中。
イラン保守派は「もう一つの海峡も閉じろ」と煽ってる。
世界経済は、「中立的な高水準」で膠着。
100日経過。
夏休みの宿題の最終日くらい焦るタイミング。
だけど、当事者は焦ってない
戦争って、始めるのは簡単、終わらせるのが難しい。
米イラン関係、関係性のリアリティショー、視聴率落ちる気配なし。
戦争は政治で始まる。でも最後に数字になる。
原油価格、
電気代、
ガソリン代、
企業収益。
資本主義は冷酷で、悲劇すら最終的には価格に変えてしまう。
だから投資家は、ニュースだけじゃなく、価格も見なきゃいけない。
歴史を作る人と、その結果の請求書を払う人は、だいたい別なのよ。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
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※本記事は、Britannica(2026年イラン戦争解説)、英国議会下院図書館、CFR(外交問題評議会)、CNN、NPR、Al Jazeera、Bloomberg、野村證券、IEA(国際エネルギー機関)、新電力ネット、TradingKey 等の公開情報をもとに構成しています。


