昨日、米イランの和平合意を「握手はされた、でもインクはまだ乾いてない」って書いたわね。
その握手に、市場は全力で乾杯したわ。
月曜のニューヨーク、ダウ最高値の更新よ。
原油はWTIが80ドルを割り込み、ブレントも5%超下落。
東京とソウルの株価も朝から5%超上げた。
リスクオフで売られていたものが、一斉に巻き戻された一日よ。
でもね、同じ日の地球の反対側で、G7に集まった大人たちは、わりと渋い顔をしてたの。市場の高揚と外交の慎重、この温度差が今日の話しよ。
市場の答え合わせ:リスクオフの全力巻き戻し
まず、和平を受けた月曜の市場を並べるわね。
- NYダウ:最高値を更新
- 原油:WTIが80ドル割れ(約5%安)、ブレントも5%超安
- アジア株:東京・ソウルが早朝に5%超高
- 円:対ドルで小幅安
- SpaceX(SPCX):上場2日目も5%高
綺麗なリスクオンの教科書ね。
戦争が終わる期待で、まず原油が下がる。原油が下がればインフレ警戒が和らいで、株が買われる。安全資産に逃げていたお金が、リスク資産に戻ってくる。
この春ずっと「戦争で原油高→インフレ→株安」だった矢印が、見事に逆回転したわ。
市場って、石油より先に期待を掘り当てるのよ。
婚約発表の翌日に新居の家具を買い始めるタイプね。まだ籍も入ってないのに。
署名は今週金曜(6月19日)でまだなのに、市場はもう「終わったこと」として値段をつけてる。気が早いのが市場の仕事なの。
📖 関連記事:米イラン和平合意、6月19日署名へ|ホルムズ開放で原油81ドル、日本のガソリン代に追い風
でも、G7は乾杯しなかった
市場がお祭り騒ぎの一方で、フランスで開かれたG7サミットでは、誰もクラッカーを鳴らしてなかった。大人たちは、パーティー会場の出口と非常口を先に確認する生き物なのよ。そのG7で、ホルムズ海峡の再開に欧州が懐疑的な姿勢を見せたの。
懐疑の理由は、昨日あたしたちが「火種」として挙げたものが、そのまま現実の課題になってるからよ。
一つ、海峡の機雷。イランが敷設した機雷の除去が必要で、その数すら分かってない。英仏が除去支援に関心を示してるけど、海を物理的に片付けるのは宣言一つじゃ終わらない。
「仲直りしたので全部リセットです」で済むなら、人類はとっくに苦労してないわ。
二つ、「無料開放」がまだ確定じゃない。バンス副大統領自身がこう言ってるの。「海峡が長期的に無料で開放されるというのが我々の予想で、それは技術的な交渉で詰めていく」。つまり、トランプ大統領は「無料開放を承認」と威勢よく宣言したけど、実務レベルでは「これから交渉」。
発表と履行の間に、まだ距離があるってことよ。
三つ、制裁下のイラン系大型タンカーがペルシャ湾に接近中、なんて報道も出てる。和平が動き出した途端、止まっていた取引が一気に動き出して、その扱いをどうするかも論点になってる。
市場は「夢」を買い、外交官は「現実」を見る。乾杯するには、まだ確認することが多すぎるのよ。
📖 関連記事:ホルムズ海峡とは|場所・幅・なぜ重要?世界の石油25%が通る経済の大動脈
日本への影響
さて、市場の祝福とG7の懐疑、その狭間で、日本のあたしたちの財布はどっちを見ればいいか。
ガソリン代と電気代
原油の下落は、輸入大国・日本にとって素直に朗報よ。
ホルムズ再開の期待 → 原油WTI80ドル割れ → 日本が輸入する原油・LNGのコスト低下 → ガソリン価格と、電気・ガスの燃料費調整額が下がる方向へ → 物流コスト経由で、スーパーのいろんな商品にも薄く効く
ただし、ここでも昨日と同じ但し書きを繰り返すわ。原油安が小売価格に届くには数週間から数ヶ月のタイムラグがあるし、G7が示した通り「再開」自体がまだハードルだらけ。
市場が80ドルで値段をつけたからって、明日のレギュラーガソリンがすぐ下がるわけじゃないの。上がる時はロケット、下がる時はエスカレーター。ガソリン価格って、そういう生き物よね。
値札は、市場のスピードでは動かないのよね。
それでも、方向が変わったこと自体は大きいわ。この春、あたしたちは戦争のたびに「ガソリンが上がる」「電気代の燃料調整費が重い」「卵売り場でため息」って書き続けてきたでしょ。
3月にWTIが120ドルを超えた頃は、家計が悲鳴を上げてた。それが今、80ドル割れ。半値とは言わないけど、ピークから3分の1も下がったの。
この水準が定着すれば、夏の電気代の重さが少しは違ってくる。エアコンをためらう夏か、少し安心して点けられる夏か——その分かれ目に、中東の海峡が関わってるのよ。経済って、本当に遠くで全部つながってるわよね。
為替
ここは少しややこしいの。
月曜の円は小幅安だった。和平はリスクオン、リスクオンだと安全通貨の円は売られやすい——これが円安方向の力。
一方で原油安は輸入額を減らすから円高方向の力。二つが綱引きして、結果は小幅安に落ち着いた。
そして今晩から、もっと大きな力が動くの。次の章で触れるFOMCよ。為替に関しては、和平より金利の方が主役になりそう。
株・新NISA
アジア株が5%超上げたように、地政学リスクの後退は株の追い風。
新NISAでオルカンやS&P500を積み立ててる人は、評価額が戻る動きを感じてるかもしれないわね。
ただ、いつも通りのことを言うわよ。和平で上がっても、明後日のFOMC次第ではまた振れる。
上がれば「もっと買っとけば良かった」、下がれば「何で買ったのよ」。投資家のメンタルって、だいたいこの二択なの。喜ぶのも不安がるのも、画面を見すぎるからなの。
積立は淡々と続くのが取り柄。売る・買う・続けるの判断は、ニュースの波じゃなくて自分のリスク許容度で決めてちょうだい。
📖 関連記事:米株 vs 日本株|過去10年リターンとS&P500・日経平均、新NISAでどっち買う?
見落とし注意:明後日未明、ウォーシュ初FOMC
和平で浮かれてる市場に、もう一つ大きなイベントが控えてるの。日本時間6月18日(木)の未明、ウォーシュ新議長にとって初めての本格的なFOMC(米国の金融政策会合)の結果が出るわ。
金利は据え置きがほぼ確実。注目は、ウォーシュ議長がどんなトーンで「次の一手」を語るか。インフレは3年ぶりの高水準、でもトランプ大統領は利下げを求めてる。
和平で原油が下がればインフレ圧力は和らぐけど、それが議長の判断にどう効くか。
つまり、今日の和平ラリーは、明後日のFOMCで一回リセットされる可能性があるの。
市場のお祭りは、長くて二日ってこともある。月曜に祝杯、水曜に二日酔い。ウォール街、だいたいいつもそんな感じよ。浮かれすぎず、次のイベントも頭の隅に置いておくのが賢いわ。
まとめ:乾杯と渋面が同じ日に並んだ
整理するわね。
- 米イラン和平を受けて、ダウは最高値、原油はWTI80ドル割れ、アジア株も5%超高
- 一方G7では欧州が懐疑的。機雷除去、無料開放の未確定(バンスも「交渉次第」)、制裁タンカーの扱いが論点に
- 市場は夢を買い、外交は段取りを見る。発表と履行の距離はまだ残ってる
- 日本へはガソリン・電気代の低下が時間差で。ただし原油安は値札にすぐは届かない
- 明日未明のFOMCで、和平ラリーは一度リセットされる可能性
市場が最高値で乾杯した日に、外交官たちは機雷の数を数えてた。どっちが正しいかじゃなくて、両方が同時に本当なのよ。あたしたちは、お祭りの音も渋面のニュースも聞きながら、自分のガソリン代と電気代だけ、静かに見ておけばいいの。
世界情勢はコントロールできない。でもエアコンの温度設定くらいはコントロールできる。まずはそこからよ。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
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※本記事は、CNBC、CNN、Washington Times、AP、Bloomberg 等の公開情報をもとに構成しています。


