今週頭、米イランの和平合意について「握手はされた、でもインクはまだ乾いてない」って書いたわね。
そのインク、乾く前に滲んだわ。というか最近の中東情勢、あたしのWi-Fiより接続が不安定なのよ。
水曜に電子署名で発効したばかりの和平が、わずか2日でぐらついてるの。
きっかけはレバノン。
イスラエルがヒズボラへの攻撃を続けたことに反発して、イランがホルムズ海峡をまた閉じにかかった。
原油は再び80ドルを超えて、今週末に予定されてたスイスでの核協議は延期。
「終わった」と思った戦争が、「まだ終わってない」と言い返してきた一日よ。
順番に整理するわね。
何が起きたのか:署名は本物、でも実行は別物
まず、和平そのものは確かに署名されたの。「ほら見なさい、戦争終わったじゃない」って言いたかった人には悪いけど、結婚式を挙げた翌日に夫婦喧嘩する夫婦なんて、この世に腐るほどいるのよ。
- 6月17日(水)、トランプ大統領とイランのペゼシュキアン大統領が、14項目の覚書に電子署名。対面式典をスキップして、同時のデジタル署名で文書を確定させた
- トランプ大統領は、G7サミットのヴェルサイユ宮殿での夕食会で、紙の写しにもサインした
- 署名直後、ホルムズ海峡では通航が再開。木曜にはタンカーの往来が増えて、いったんは「正常化」に向かってた
ここまでは先週の予告どおり。でも、ここからが問題なの。
署名から実行に移ろうとした金曜、つまずいたのよ。
イラン側が、予定されていたスイスでの協議に代表団を送らなかったの。
理由は、レバノンでのイスラエルによるヒズボラ攻撃が止まらないこと。米国のバンス副大統領もスイス行きを中止した。
和平の文書にはサインしたのに、その先の交渉のテーブルに、当事者が着かなかったってことよ。
会社だったら「承認済みです」ってSlackに書いた人が、その会議をすっぽかした状態ね。PMが一番キレるやつよ。
なぜ揺らいだのか:レバノンという死角
和平が2日でぐらついた犯人は、レバノンなの。
イスラエルは、レバノン南部のヒズボラ(イランが支援する武装組織)への攻撃を続けてる。金曜にはイスラエル兵4人が死亡した報復として、80以上のヒズボラ標的を空爆した。イランは「イスラエルがレバノンの攻撃をやめない限り、核協議には応じない」という立場。
ところが、ここに構造的なねじれがあるの。イスラエルは「レバノンでの作戦は、米イランの停戦合意の対象外だ」と主張してる。ネタニヤフ首相は、レバノンの軍事行動は別問題だ、というスタンス。
つまり、米国「全体で停戦ね」、イラン「了解」、イスラエル「その話し、あたし聞いてない」——という地政学版グループチャット状態。
米イランは「全戦線で停戦」と言ったのに、イスラエルは「うちはその約束に縛られない」と言ってる。和平の輪の中に、イスラエルというピースが最初から入りきってなかったの。
今週あたしが「火種は隣でくすぶったまま」と書いた、その隣の部屋が、さっそく燃え始めたってことよ。
なお、金曜の夜にはイスラエルとヒズボラが改めて停戦で合意した、という続報も入ってる。米国・カタール・イランが仲介したらしいわ。でも、攻撃しては停戦、また攻撃、を繰り返してる状態で、どこまで持つかは誰にも分からない。
📖 関連記事:米イラン和平合意、6月19日署名へ|ホルムズ開放で原油81ドル、日本のガソリン代に追い風
市場の反応:原油は80ドルに逆戻り
先週、和平期待で原油はWTI80ドルを割り込んだでしょ。あの追い風が、今週は逆回転したの。
イランがホルムズ海峡の封鎖を再び強めたことで、原油は再び80ドルを超えて反発。暖房油の先物に至っては、1ガロン4ドルに迫る勢いで上昇したわ。
今週「中東が平和になれば原油が下がる」と動いた市場が、「やっぱりまだ危ないかも」と巻き戻したってこと。市場って本当に気分屋なのよ。
昨日は「世界平和ばんざーい!」って踊ってたのに、今日は「やっぱ怖い」って震えてるんだから。
しかも、もう一つ気になる動きがあるの。イランがホルムズ海峡で「保険料」のような通航料を徴収する可能性を示したの。
トランプ大統領は「ホルムズ海峡の無料開放」を高らかに宣言したのに、イランは「タダでは通さないわよ」という構え。無料だと思ってた高速道路が、突然ETC有料になったみたいな話しよ。しかも料金表はまだ出てないの。トランプ大統領は「イランが海峡の自由な通航を許さず、非常にお粗末な対応をしている」と不満をぶつけてる。署名した文書の解釈すら、もう食い違ってるのよ。
株式市場は、この綱引きを横目に様子見。大きく崩れてはいないけど、「和平で全部解決」という楽観は、確実にしぼんだわ。
日本への影響
さあ、ここが本題よ。中東のこのドタバタが、日本のあたしたちの生活にどう効いてくるか。今回ね、いつもより「日本の当事者性」がはっきり見える出来事があったの。
日本の船も、あの海峡を通っている
まず、これを知っておいて。6月19日、日本関係の船舶1隻が、ホルムズ海峡を無事に通過したと外務省が発表したの。
ホルムズ海峡って、遠い中東の話しに聞こえるでしょ。日本人って中東ニュースを見ると「ふーん、大変ね」で終わりがちなんだけど、数週間後にガソリンスタンドでレシートを見て「なんで高いのよ!」ってなるのも、毎回お約束なのよね。
でも、日本が輸入する原油の大部分が、あの狭い海峡を通ってくるの。封鎖されたり、再開したり、危険だから通航量が減ったり——そのたびに、日本のタンカーが「通れるのか、待つのか」の判断を迫られてる。
今この瞬間も、アジア向けの原油を積んだ約21隻のタンカーが、ホルムズ海峡で青信号を待って待機してる、なんて報道もあるわ。
中東の地政学は、ニュースの中の出来事じゃないの。あなたが使うガソリンや電気の原料が、今まさにあの海峡で足止めされてるかもしれない、という現在進行形の話しなのよ。
ガソリン・電気代:先週の追い風が、逆風に変わった
ホルムズ海峡の再封鎖 → 原油が80ドル超へ反発 → 日本の輸入コストが再び上昇圧力 → ガソリン・電気代の下げ要因が消える
今週頭「和平で原油が下がって、ガソリン・電気代に追い風」と書いたの。でも週末、その追い風はぴたりと止まった。むしろ原油が80ドルに戻ったことで、逆風になりかけてる。
たった1週間で、追い風が逆風になる。これが地政学リスクの怖さなのよ。家計の計画って、本当はもっとゆっくり立てたいのに、中東の数日の出来事で前提がひっくり返る。
だからこそ、エネルギー価格は「上がる前提」で少し余裕を持って家計を組んでおくのが、こういう時代の防御策ね。下がったらラッキー、くらいの構えが、振り回されないコツよ。
しかも、ここに円安161円が重なってるのが、今の日本のしんどいところ。
原油はドルで買うから、原油高と円安のダブルパンチで、輸入コストは二重に膨らむの。原油が殴ってきて、円安が追撃してきて、家計が「ちょっと待って」って言ってる状態ね。
せっかくの和平も、レバノンの火種と円安に挟まれて、あたしたちのレジにはなかなか恩恵が届かない。和平の「ぬか喜び」を一番味わってるのは、実は日本の家計かもしれないわね。
新NISA:地政学は読めない、だから読まない
オルカンやS&P500を積み立ててる新NISA勢は、こういう地政学ニュースのたびにソワソワするでしょ。でも、正直に言うわ。中東情勢がこの先どう転ぶかは、プロでも当てられないの。だって署名して48時間で海峡が閉じる世界よ。そんなものを予想できるなら、今頃みんなハワイの海を眺めながら優雅に資産運用してるわ。
だからこそ、地政学で投資判断をしないのが正解なの。
「戦争が再燃しそうだから売る」「和平だから買う」をやってたら、この1週間で何回売買することになったか。指数は結局、行ったり来たりしてるだけ。動かされてるのは、またしてもあなたのメンタルだけよ。
相場より先に減ってるのは、だいたい資産じゃなくて精神力なの。積立は、世界のドタバタを無視できるのが最大の強み。淡々と続けるか、止めるか、それを決めるのは自分のリスク許容度だけ。ニュースの見出しじゃないわ。
📖 関連記事:ドル円161円突破で介入警戒|FRBタカ派が招いた円安と、あたしたちの輸入物価
まとめ:和平は「点」じゃなく「過程」
整理するわね。
- 米イラン和平は6月17日に電子署名で発効、ホルムズ海峡もいったん再開
- でも署名2日で、レバノンのイスラエル・ヒズボラ衝突に反発したイランが、ホルムズを再封鎖
- スイスでの核協議は延期、原油は80ドル超へ反発、イランは「保険料」徴収の構え
- イスラエルは「レバノンは米イラン合意の対象外」と主張、和平に最初から死角があった
- 日本関係船舶もホルムズを通過。原油高と円安161円のダブルパンチで、輸入物価に逆風
今週頭から繰り返してるけど、和平って「サインした瞬間に完成」するものじゃないの。署名は出発点で、そこから60日かけて中身を詰める「過程」よ。その過程で、何度も揺れる。
今回の再封鎖も、おそらく最後じゃないわ。地政学はね、Netflixの最終回じゃないの。「完結しました」って出た5分後に、シーズン2が始まるのよ。
だからあたしたちにできるのは、見出しの「和平!」にも「決裂!」にも一喜一憂せず、自分のガソリン代と電気代と積立額を、淡々と見ておくことだけ。世界の握手が本物になるのを祈りながら、でも自分の家計簿は自分で守る。それが現実的な大人の構えよ。
中東の首脳は止められない。FRBも止められない。円安も止められない。でも、ガソリンを満タンにするタイミングと、新NISAの積立設定だけは、自分で決められる。だったら、まずはそこからよ。
世界平和を祈りながら、今日も電気代の請求書を見る。それが令和の庶民ってもんなの。
世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。
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※本記事は、Bloomberg、CNN、CBS News、Fox News、Reuters、RFE/RL、AP、外務省等の公開情報をもとに構成しています。状況は流動的なため、最新情報は各報道機関でご確認ください。


