「下げろ」に「上げます」で返したFRB|ウォーシュ、トランプに12対0のNO

トランプの利下げ要求を退けFRBが3年ぶりの利上げを12対0の全会一致で決めた構図を象徴する、下向きの矢印を突きつけられても揺るがず上向きの金利レバーを引くFRBの手と薄暗い連邦議会議事堂のシルエットを重ねた、バーガンディとチャコール基調のシネマティックで絵画的なデジタルイラスト 経済

今週、ずっと追いかけてきた物語に、答えが出たの。

トランプが「金利を下げろ」と叫んだ。ベッセント財務長官が「俺が胴元だ」と豪語した。そして昨日水曜、その渦の真ん中にいたFRB(アメリカの中央銀行)が、ついに答えを出したの。

利上げ。しかも、全員一致で。

トランプは、以前から「金利は1%以下にしろ」と要求し続けてた。今の金利が4%前後だから、要は「4分の1以下にまで下げろ」という、かなり無茶な話しね。

それに対してFRBの回答は——「下げません」ですらなかった。「上げます」。しかも12人の投票メンバー全員が賛成、反対ゼロ。断るだけじゃなく、逆方向に歩き出したのよ。今日は、この痛快でもあり、少し怖くもある一日を、ほどいていくわね。

まず、何が決まったか

FRBは昨日、政策金利を0.25%(25bp)引き上げた。3.5〜3.75%だったのを、3.75〜4.0%へ。

これ、実はすごく大きな出来事なの。というのも、FRBが利上げをするのは、2023年7月以来、約3年ぶり。今年に入ってからは、5回連続で「据え置き(何もしない)」を続けてきた。その沈黙を破っての、久しぶりの一手。しかも「下げる」じゃなくて「上げる」。理由は、このブログでずっと追ってきたとおり——インフレ(物価高)が、しつこく居座ってるから。特に、イラン戦争による原油高が効いてる。

「全員一致」が、いちばんのメッセージ

今回、数字そのもの(0.25%)は、実は市場もほぼ織り込み済みだった。9割方、みんな「利上げするだろう」と分かってたの。

じゃあ何がニュースだったか。「12対0」という、票の中身よ。

FRBの金利は、12人のメンバーの投票で決まる。昨日、その12人が、一人残らず「利上げ賛成」に手を挙げた。反対、ゼロ。これは、結構すごいことなの。中央銀行って、普通は中で意見が割れるものだから(先月まで「まだ早い」派もいた)。それが、今回は満場一致。

もちろん、FRBは声明に「トランプさん、聞いてる?」なんて書かない。中央銀行だもの。Xじゃないんだから。でも、利下げを求める大統領を横目に、12人全員で利上げ。「政治の圧力じゃなくて、インフレを見て決めます」——そういうメッセージとして受け取られても、不思議じゃないわ。中央銀行界で、いちばん静かな既読スルーよ。

トランプ「1%以下にしろ」→FRB「4%にします」

タイミングも、皮肉が効いてたの。

トランプ大統領は、決定の当日まで、SNSで「金利を引き下げろ、しかも直ちに!」と圧力をかけ続けてた。かねてからの持論は「1%以下にすべき」。そして数時間後、FRBが出した答えは、逆方向の「利上げ」で、金利は4%前後に。

トランプ「下げろ」、FRB「上げます」、トランプ「1%以下」、FRB「4%です」——会話が、まったく成立してないの。しかも、そのウォーシュ議長を選んだのは、トランプ本人。「自分の低金利好みを分かってる人を選んだ」はずが、その人に、公開の場で、きれいに”NO”を突きつけられた。

今週ずっと書いてきた「自分で選んだ議長が、任命者と逆を向く」皮肉が、完成形になったの。でも、中央銀行の独立性って、たぶんこういう時に、いちばんよく見えるものなのよね。

ウォーシュ議長が、株の熱を冷ました

利上げそのものより、市場が本当に注目してたのは、「で、この先どうするの?」だった。1回で終わりなのか、これから連続で上げていくのか。

FRBが示した”予想の分布図”(ドットプロット、専門用語ね)では、18人中16人が「年内に、少なくともあと1回は利上げがありそう」と見てた。内訳は、12人が「あと1回」、4人が「あと2回」。……あら。「今回だけよ♡」じゃなかったのね。FRB、まだ帰る気なかったのよ。時期までは示されてないけど、市場では「次は10月か、12月か」の読み合いが、もう始まってる。

そして、株の反応がドラマチックだったの。市場は最初、「まあ25bpは知ってたわよ」と平静を装ってた。取引時間の途中までは、むしろ株は上げてたくらい。ところが、ウォーシュ議長が記者会見で、こう言い放ったの。「この夏のインフレの数字を見ても、根っこの部分が意味あるほど改善したとは、私には思えない」。要するに「まだ全然、許してないから」。……市場「え、まだ怒ってたんですか」、FRB「怒ってます」。

この一言で、空気が変わった。閉店間際に、市場の本音が漏れたのよ。「聞いてた話しと、違うんですけど」。

結果、S&P500は約0.5%安、ダウは1.2%超下げて600ドル以上のマイナス、ナスダックはほぼ横ばい。しかも、長い期間の金利の目安になる10年国債の利回りは、再び5%を超えたの。最初は上げてたのに、議長の”まだ怒ってる”顔を見て、売り直した——そんな一日だった。

円とドルの話し。そして舞台は明日、日銀へ

為替も反応したの。「アメリカがしっかり利上げして、この先も上げる姿勢」となれば、ドルを持ってたほうが利息がおいしい。だからドルが買われて、ドル円はドル高・円安方向に振れた。

……あら? 火曜に「円は7か月ぶり高値まで買われてる」って書いたのに、また円安に戻ったの? と思うわよね。そう、直前まで円は7か月ぶり高値(一時152円台)をつけるほど買われてたんだけど、アメリカの利上げで、短期的にドルが強含んだの。でも、円をめぐる大きな綱引きは、まだ終わってない。なぜなら——明日9月18日、今度は日銀(日本の中央銀行)が、金利を決めるから。

日銀は、政策金利を1.25%へ引き上げるとの見方が有力。実現すれば、なんと約31年ぶりの高さよ。つまり今週は、水曜にアメリカが利上げ、金曜に日本も利上げ、という「日米そろって金利を上げる週」。ベッセントが煽り、トランプが吠え、二つの中央銀行が動く。明日の日銀次第で、円の綱引きは、また大きく振れる可能性があるの。

日本のあたしたちへ

「アメリカの利上げでしょ。日本のあたしには……」と思う前に、今日は特に、2つ知っておいてほしいの。明日という日は、あなたの財布にとって、けっこう大事な一日だから。

① 明日の日銀に注目。住宅ローンの人は特に

明日9月18日、日銀が利上げするかどうかが決まる。もし利上げすれば、いちばん直接効くのが、変動型の住宅ローン。銀行の基準金利を通じて、この先じわり上がる方向に圧力がかかるの。ただし、即日・一律に上がるわけじゃなくて、銀行によって基準金利の見直し時期や、返済額への反映のしかたは違うの。変動で借りてる人は、明日の結果を、ちょっと気にしておいて。慌てて借り換えに走る日ではないけど、「日本も、いよいよ金利が上がる時代に入った」という節目として、頭に入れておく価値はあるわ。

② ドル資産を持つ人は、”綱引き”の真ん中にいる

米国株や外貨建ての資産(新NISAでも特定口座でも外貨預金でも)を持ってる人にとって、昨日と明日は、まさに綱引き。昨日のアメリカ利上げは、ドル高・円安を後押しした(=あなたのドル資産の円換算評価が、少し持ち直す方向)。でも明日、日銀が利上げすれば……と言いたいところだけど、ここが為替という”性格の悪い生き物”のややこしさ。為替は「上げたかどうか」より「予想との差」で動くの。市場はもう、日銀の利上げをかなり織り込んでる。だから大事なのは「上げたか」より、植田総裁が「次も上げるの? どこまで?」をどう語るか、なのよ。為替市場は、結果を待ってるんじゃないの。次回予告を待ってるの。こういう日は、一喜一憂して売り買いするより、どっしり構えておくのが賢いわ。ドル円が1円動くたびにNISAを売ってたら、資産形成じゃなくて、反復横跳びよ。短期の為替だけを理由に、積立の方針までコロコロ変える必要があるのかは、一度立ち止まって考えたいところね。

今週、世界は「金利を上げる」方向へ、はっきり舵を切った。トランプ一人が「下げろ」と叫び続けたけど、FRBは12対0で、逆方向へ歩き出した。少なくとも昨日のFOMCでは、政治の要求より、FRB自身のインフレ判断が優先された——そう言える一日だったの。

でも、その判断が、あたしたちの住宅ローンや投資に、そのまま跳ね返ってくるのも事実。世界がどっちに転んでも、慌てないでいられるように。明日の日銀だけは、そっと見ておきましょ。

今日のまとめ

  • FRBは9/16、政策金利を0.25%(25bp)引き上げ、3.75〜4.00%へ。2023年7月以来、約3年ぶりの利上げ。今年5回の据え置きを経ての一手で、しつこいインフレ(特にイラン戦争による原油高)が背景
  • 最大のメッセージは「12対0」の全会一致。トランプ大統領が公然と利下げ圧力をかけるなか、投票メンバー全員が利上げで揃った。声明は名指ししないが、政治の圧力ではなくインフレ判断で決めた、と受け取られてもおかしくない構図
  • トランプはかねて「金利は1%以下に」と要求し、決定当日までSNSで利下げ圧力。FRBの回答は真逆の利上げ・全員一致。トランプ自身が指名したウォーシュ議長が任命者の要求を退ける、今週の「皮肉」の完成形
  • ドットプロットでは18人中16人が年内あと1回以上の利上げを想定(内訳は12人が1回、4人が2回、2人は据え置き)。ウォーシュは自身のドットを提出せず。時期は明示されず市場は10月か12月かを読み合い
  • 株は当初上昇も、ウォーシュ議長が会見で「インフレはまだ高すぎる、基調は意味あるほど改善していない」とタカ派発言し反落。S&P500 約0.5%安、ダウ約1.2%安(600ドル超)、ナスダックほぼ横ばい。10年債利回りは再び5%超え
  • 為替はドル高・円安方向。直前まで円は7か月ぶり高値(一時152円台)まで買われていた。明日9/18の日銀会合(1.25%への利上げ観測、約31年ぶり水準)で円の綱引きは再び振れる可能性。ただし利上げは織り込み済みで、焦点は植田総裁の今後のガイダンス
  • 日本への影響:明日の日銀利上げなら変動型住宅ローンにじわり上昇圧力(反映時期・方法は銀行により差)。ドル資産を持つ人は米利上げ(円安・評価持ち直し)と日銀(円高圧力)の綱引きの真ん中。短期の為替で積立方針を変えるかは一度立ち止まって

世界がどう動こうと、自分の足元だけは整える。それだけ。

Trump said cut. The Fed said no — twelve times over.


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※本記事はCNBC、Yahoo Finance、Fox Business、Reuters、TheStreet、Trading Economics、FXStreet等の公開情報をもとに構成しています。金利・株価・為替などの数値は報道時点の速報値であり、時間帯により変動します。各中央銀行の今後の決定は確定ではありません。投資判断はご自身の責任で。

この記事を書いた人

40代、元外資テック・米銀行、米国生活経験あり。
東京で愛犬と暮らす観察者。
「経済的自立」がモットー。

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